marukashi’s diary

色んなラノベの感想上げます。チラムネ界隈では「裕夢こんにゃろうの人」で関係者の中で話題です

千歳くんはラムネ瓶のなか 7 感想

[あらすじ]

色のない九月。色めく私たちの望み。
「1年5組の望紅葉です。よろしくお願いします」



夏休みが明けて、九月。

藤志高祭に向けた準備が始まった。校外祭、体育祭、文化祭が連なる、高校生活でもとびきり華やかなイベントだ。



俺たちは青組の応援団に立候補し、グループパフォーマンスを披露する。

縦割りチームで3年代表として明日姉が、そして1年からは陸上部の紅葉が参加することになった。



夏でも秋でもない、あわいの季節。

俺たちは時間と追いかけっこしながら、おだやかな青に染まっていく――。

 

 ついに始まった、チラムネの終わりへと向かっていく物語。

 春を過ごして、あの夏を超えて、また新たに始まる秋を待ちわびていたこの5か月。

 朔、和希、海人、健太、夕湖、優空、陽、悠月、そして明日風。踏み出した夕焼けを掴んだ空。秋の前に挟んだひと夏の落ち着きを、チラムネは許してくれない。落ち着いていた心に熱を持たせ、どんな感情を持てばいいのかもわからず視線を右から左へとずらしていく。本編の最後を迎え、ようやくこの感情は落ち着くのだろうと思っていた。だけどそれは裏切られた。あとには裕夢先生のあとがきしか残っていなかったはずなのに、この人がこの文章を書いていた時の感情を知ることはできないし、読者の誰にも伝えることはないだろう。だけど、そこに書かれていた文相の感情は何よりもこのチラムネとリンクしていた。改めて認識させられた。この作品が完結を迎えるまでは絶対に死ねないし死ぬつもりも毛頭ない。この人の葛藤を見せられて、魂に魅せられて、この先を待ち望むことしかできないのがもどかしいと思いつつも、この人の筆ならいくらでも待てると確信した。

 

 って何書いてるんだと思いつつ熱を持ったハートでいるので特に恥ずかしくはなく、おそらく明日福井に行く電車の中でこれを読み直しても特に恥ずかしげもなく読み直すんだろうなと思う。

 最初は作品の感想を書いたほうがいいのかと思ったけれど、熱が青いうちに感情を吐き出したほうがきっといいだろうと思ったのです。

 

 さて、ここからは作品の感想を書こうか。と目次の部分の舞に目が行った。最初はインターハイの試合でも見るのかと思ったけど全然違った。最後の最後に出てきたうえに引き立て役みたいになったのはどんまいにも思えたが、それほどまでに高い壁だからこそ、この7巻を締めくくる相棒にはふさわしいとも思えた。

 一気に話を飛ばすけど、紅葉がみんなの思い出を踏みにじり始めたシーン。ここでこんなに涙を流してはraemz先生がイラストを描くときに持たないんじゃないのって思ってしまった。合宿で結構イラストを描いて、そのあとにこのイラストたちを描くのは心がしんどすぎる気がする。raemz先生はいつも裕夢先生のほしい1枚を仕上げてくれていると聞いているが、きっと裕夢先生が魂を綴っているから、想いを綴っているから、たとえ元の言葉が違えとraemz先生はくみ取れるのかなと、思いました。きっとチラムネは拾い上げてくれた岩浅さんと、裕夢先生とraemz先生でスタートしなければまた違った結末を迎えていたのかなと思います。話逸れた。

 学校祭で合宿を行うとかいう青春したかったとかいう戯言はさておいて、紅葉のやつめちゃんこぐいぐい来るなぁとか、みんな「〇〇さん」呼びなのに朔だけ「先輩」呼びなのは絶対脈ありな気がしたし、家に行きたいって簡単に言えるのもそんな気はしたよね。心の警鐘すごい鳴ってた。本を読むとき、割と声優さんが好きなので紅葉の声優を想像しながら読んでいたんですよ。最初は純真無垢というか、元気な活発素直な子みたいな、陸上部ということでさわやかさも感じつつ雨宮天さんみたいな声をあてはめていました。でも表の紅葉と本当の紅葉を見て、この二つの顔をみて、違うな。きっとこれは某お水ちゃんと同じポジションだからあてはめてしまっているとはわかりつつも、しっくりきているからと、佐倉綾音さんが近いのかなと思いました。今回は電子で読んだので、紙で読み直すときに声をあてはめなおそうかなと思います。

 明日姉のあのイラスト。感情を大人な一面で抑えている印象を持たせつつ、一番表に出している少女。この少女の泣き顔はいつまで立っても目を惹かれてしまう。走って乱れる髪、居場所を踏みにじるなと苦しくなる心、抑える手。トクベツではないけど、君との当たり前だった場所。そんな当たり前に表れてた子。なんだ?結局いろんな作品においても女の子の泣き顔が好きなのか?好きなんだよな裕夢先生?

 raemz先生に一番泣き顔を書かれたヒロインはって思って見返してたけど、明日姉がトップかなと思ったら、間違えてなければ夕湖と明日姉のタイだった。ていうか7巻で全ヒロインの泣き顔出てきたもんな。心が痛いよ。

 明日姉の一件以来、何かと朔についてく紅葉についてく悠月、そして確信をへて屋上へと向かう。そこで起きた戦いは、あっけなく悠月が負けてしまう。だって、彼女が正しいんだから。とこの停滞でよかった。この停滞がよかった。だけど彼女は進んでしまう。進み始めてしまっている。それに気づいてしまった悠月は、遅れをとらぬために舞へと勝負を挑む。そして傷つけ、舞を魅了し、そして勝つ。「ウミ、これが本気を出した私。私はもう、とどまらない」と言わんばかりのイラスト。ここで4巻で燃え上がった熱が再燃した。再燃したのにもうあとがきが始まってしまう・・・と思ったらあのあとがきだ。何よりも、7巻の全てにおいて、というより7巻が始まった本当のタイミングの筆者の心境が、何よりも熱を持って、俺の筆を進ませてくる。今は落ち着いているけど、この感想の書き始めに書いた熱は降りることのない高速道路のように早く筆を進ませてきた。いつもプロットは書かずに魂から出てくるチラムネをそのまま書いていた裕夢先生の、魂を見せつけられたことに、裕夢先生の熱を見ることができたことに、その熱がのった7巻を見ることができたことに、数々の作品を抱え、またとある高校生の職場見学に立ち会ったりと忙しい岩浅さんに、コミケ100で新刊を出す予定を組んでいた中で7巻のイラストを描き上げてくれたraemz先生に、そしてこの熱を届けてくれた裕夢先生に、ありったけの感謝を。

 あとがきで急に自分の本心晒してくんな裕夢こんにゃろういいぞもっとやれ!!

 

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探偵はもう、死んでいる。 感想

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[あらすじ]

これは君が私と出会う物語。そして私が君と出会う物語。

 

名探偵の私・シエスタと助手・君塚君彦の出会いは、地上一万メートルの上空、ハイジャックされた飛行機――ではない。
「あなたには、日本へ行ってもらいたいのです」
本当の始まりは四年前、《連邦政府》から受けたあるスパイの捜索依頼。
日本に飛んだ私が加瀬風靡の協力を得て彼の関係者との接触を図ると――

「ちょうどいい、お前も覚えておけ。その腹立たしいクソガキの名前は――」

ねぇ、助手。どうして私が君を旅に誘ったのか、不思議に思ったことはない?
今から語られるのは、三年にわたる目も眩むような冒険劇を繰り広げた君ですら知らない、私だけの秘密。
あの遙かな空の出会いに至るまでの、真の始まりを描く前日譚。

 

 まず最初に、口絵のシエスタとてもいいですよね。特に私服。ナース?チアガール?そんなものより私服がいいんだよ。確かにポニテナースに魅惑の生足太ももはいいかもしれん。年齢の割に胸部の発育がよろしくそれを隠す布面積はいつもより少なくその上躍動感を表す布のシワ。そして普段であれば絶対にしないであろうツインテをしているチアガールも捨てがたい。だがしかし、我は私服を推す。私服の何がいいかって?そんなもんその人が来ている私服はその人にしか着こなせないからに決まっているであろう。ナースもチアガールも別にみんなが全く同じとは言わないけど誰かが来たって結局似たような感想になってしまう。だが私服はどうだ。私服はその人のセンスや趣味で決まったり、型にはめず自分の好きなようにチョイスすることも可能だ。そして見よこのシエスタのチョイスを。まず髪型。ロングヘアのストレートで大人っぽさを醸し出しているまだ10代の女の子!小さいリュックを背負い今どきの女の子を表すアイテム!最低限しか肌を出さない。ハイネックにおそらく下はタイツかニーハイをはいているであろう隠すファッションという完全に俺得の着こなしだ!極めつけはこのマスクをちょっととっている仕草!ファッションかと言われれば確かに肯定しにくいところもある。だがしかしこのマスクには「あ、君。ようやく来たね、来るのが遅いよ。」と何かの待ち安合わせ彷彿とさせる。これはきっとこの後デートに行くんだなそうだな!!! と物語にはあまり関係ない話をたくさんと綴ってしまいましたがここからは物語の感想に入りましょう。

 舞台はというほど仰々しいものでもないが、7年前、そこで君彦と師匠となるダニーが出会った。幾度となく巻き込まれ体質により事件に関わってきた君彦の前に現れた謎の男。互いのことは詮索しないというルールを課し共同生活を始める。

 そして過去の話をすることは現在の話も入ってくるということ。今みんなはシンガポールで連邦会議のための腹ごしらえ最中。渚がショートになってる?!かわうぃ!君彦の誕生日がこどもの日ということで、君彦の子供のころの話を聞きたがる三人。そして君彦は語りだす... ていうか渚は名探偵になれるのかしら。7巻が楽しみじゃね。

 そして現在といえば眠るシエスタとメイドのシエスタ。この二人も過去の話にはなくてはならない存在の二人。シエスタなくしてたんもしは始まらない。

 過去に戻りシエスタは日本に来てダニーを探る。それは必然か偶然か、君彦と出会ってしまう。ダニーを探すためにシエスタは奔走し、その中で君彦の”特異点”のことをミアから聞くことになる。この時点でおそらくシエスタはミアの未来は当てにならないと踏んでたのかしら。

 結局ダニーは一年前に死んでおり、君彦はダニーを殺した相手を探すためにわざとそのことをシエスタに黙っていた。実際まんまと引っかかって本当に殺したやつが現れた。そいつは《暗殺者》である風靡さんともう一人の調律者である《執行人》によってしっかりと殺されていた。車椅子が必要なジキル。背筋をピンと伸ばして歩けるハイド。きっとこの人も今後の物語に関わってくるんだろうな。

 この過去の話は全て《名探偵》の前任者であるダニー・ブライアントが仕組んだ未来でもあった。シエスタが《名探偵》の助手に君彦を当てさせるがためなのか・・・こうなった経緯はわからない。だけどこの先の物語もダニーには知りうることはできないのであろう・・・。

 ていうかシエスタって連邦政府に追われる立場だったんだね。まぁたしかにシードの器なりうる存在だったしそれもそうか。なんで調律者に推薦されたのか連邦政府に聞いてみたいな。

 そしてやっぱり読んでてさすがたんもしって思ったよね。君彦とシエスタとの過去話での場面転換で、あたかも話が繋がっているように見せかけて本当は時期は一切違うっていう。あれこそたんもしならではの書き方だよね。読み進めるまで気づかないでしっかり騙されちゃった。あのホテルでダニーと電話してる君彦は、シエスタと一緒の時じゃなく一年前に北陸へ向かった君彦との電話っていうの。あれほんと一年前に死んでたっていう情報がなければ絶対に気づかないやつだよね。うんやっぱすごいしこれからがどうなるかもすごい楽しみ。

 

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ひきこもりの俺がかわいいギルドマスターに世話を焼かれまくったって別にいいだろう? 1 レビュー

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[あらすじ]

超絶的な剣と魔法の才能を持ちながら、怠惰なひきこもりの貴族男子・ヴィル。父の命令で、落ちぶれ冒険者ギルドに働きに出された彼は、純粋・健気で天使のような美少女ギルド長・アーニャと出会う。 実はヴィルを以前から慕っていたアーニャに優しく尽くされ、たっぷりお世話をされることになった彼は、愛の力であっさりニートを返上!? アーニャを助けるべく、全く自重せずに才能と真価を発揮しまくる! ニート少年が最強冒険者に大覚醒! 健気な美少女ギルドマスターに愛され尽くされ無双する、甘々ファンタジー冒険譚!

 

 おとなしく引きこもっていればこんなかわいいギルドマスターに世話を焼いてもらうことができたのかな・・・。いやまずは異世界転生するところから始めないといけないのか。

 転生系ではないけど異世界が主題の物語を読むのはシリーズ続いてるやつ以外だとかなり久々で、「ふむ。こういうテイストなのか」とコーヒーを飲みながら想うがのごとく読み進めていましたが、唐突に始まった街を揺るがす大事件。そんな事件に主人公ヴィルはどう立ち向かうのか。でも結局あらすじにあるように最強冒険者に大覚醒とか書いてるからまぁ平和に物語は終わるんだろうなとも読み取れてしまう。けど創作物はハッピーエンドが一番だよね! ちなみに僕はソフィアさんよりアーニャちゃんのサイズのほうが好きです。大きけりゃいいもんじゃないんです僕の中では!!! ていうかソフィアさんポロリするにもほどがあるしこの異世界の恥じらいってどうなっているのかしら。

 一巻でこのような終わり方をした今作品、どのように二巻へと進んでいくのかとても楽しみです!

 

 

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陰キャの僕に罰ゲームで告白してきたはずのギャルが、どう見ても僕にベタ惚れです 1 レビュー

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[あらすじ]

クラス内カーストトップの清楚系ギャル・茨戸七海に告白されて付き合うことになった陰キャ気質な男子・簾舞陽信。 実はその告白は罰ゲームによるものだった!? しかも、ギャルだと思っていた七海は実は男性が苦手な見た目だけのギャルだったことが判明! でも、朝待ち合わせしてからの登校デートや、手作りお弁当等、イチャつきぶりはどう見ても罰ゲームではなく、陽信にべた惚れにしか見えなくて――!? 恋愛初心者二人による激甘ピュアカップルラブコメ

 

 罰ゲームで告白をする。陽キャならありふれた日常のようなことでも、陰キャにとってはそうではない。ましてや男ばっかりの工業高校にいた僕なんてそんな話なんて一切聞かない。清楚系ギャルとかいう矛盾しているようでしていないようで結局わからない言葉が生まれてしまったこの作品、想像していたよりとてもよかった。主人公陽信は陰キャということでまぁ自信ないゲームしか好かん陽キャなんて滅んでしまえ系男子かと思いきや、温厚系陰キャで趣味程度に筋トレをやっており体はしっかりとしておりその上で陽キャを見下したりとかも一切しない。単にクラスに友達いないネットに友達いるっていう感じの主人公でした。そのネットのお友達バロンさんのご助力を得てお付き合いをしていく陽信、こいつただ単にかっこいい彼氏してるじゃんと思うシーンがたくさんあった。

 彼女である七海は罰ゲームという罪悪感に苛まれながらも、かっこいい行動と気取ってるけど結局無理してるかわいい一面を見せられ本当に恋することになっていく・・・

最近出てるラブコメを典型的な感じだなと思って読まないから何とも言えないけど、この作品はこの作品にしかない味がたくさんあるので、みなさんぜひお手に取ってみてください。

 

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灰原くんの強くて青春ニューゲーム 1 レビュー

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[あらすじ]

高校デビューに失敗し、灰色の高校時代を経て大学4年となった青年・灰原夏希。社会人目前だった彼はある日突然、7年前――高校入学直前まで時を遡っていた!! 後悔しかなかった高校生活の「やり直し」の機会を得た夏希は、過去の経験を活かして見事クラスカースト最上位な美男美女6人グループの一員となることに成功! しかもそこにはかつて片思いしていた美少女・陽花里の姿もあって……!? 無自覚ハイスペック青年が2度目の青春をリアルにやり直す、強くてニューゲーム学園ラブコメ

 

 失敗した青春を取り戻したい。そう思ったことのある人は少なからずいると思います。僕も工業高校に行っていなければラブコメできたかもしれないのに・・・中学からやり直したいけど勉強しなおすのも大変だ。そんな感じでこの作品は大学四年でインフラ企業から内定をもらっていた主人公灰原夏希が突然過去に戻り青春をやり直す物語です。

 陰キャ高校デビューして頑張るという物語はありますが、灰原夏希はそれに一度失敗しており何故かタイムリープして二度目の高校デビューを頑張るという話です。あらすじにもある通りクラスカースト最上位のグループの一員になり高校生活を送ることになるのですが、元陰キャということもあり難しさや慣れなさ、そして過去失敗する原因ともなった他人の感情への疎さもありとある問題が発生してしまいます。果たして夏希はどのように解決していくのか・・・

 主人公灰原夏希には幼なじみで一度中学の頃に疎遠になった腐れ縁の本宮美織がおり、彼女なりの理由で夏希の高校デビュー計画を手伝っているのでこれからの彼女の立ち回りや作品においての重要性が気になってきますね。

 なぜタイムリープしたのか、この作品であればおそらく触れることはないでしょう。だからこそこれからのラブコメ展開、夏希は誰とくっつくのか、これからの学校行事にどのように挑んでいくのかとっても楽しみです。

 

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忘れさせてよ、後輩くん。 感想 

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[あらすじ]

◆◇「このライトノベルがすごい!2020」(宝島社)文庫新作4位『キミの忘れかたを教えて』著者・あまさきみりとが贈る、先輩と僕のラブストーリー◇◆
幸運のイルカに出会えたら、片思いが動き出す――恋バナになると必ず話題になる噂話だ。
一笑に付していた僕・白濱夏梅の目の前に、イルカの髪飾りの似合う少女・海果が現れる。
髪飾りと噂話をこじつけるなんて……そう思っていた矢先、
「ここにいれば夏梅くんに会えるかな、と思ってさ」
大学進学で上京していた初恋の相手・広瀬春瑠先輩と再会し!?
昔のように遊んだり、勉強をみてもらったり――長年の片思いが報われるような時間。
「時々ね、キミが晴太郎先輩に見えるときがあるの」
でも、動き出したのは僕の片思いだけじゃない。
僕の亡き兄に恋していた春瑠先輩の片思いも、動き出してしまったんだ――。

 

 読み始めたときは、こんな物語になっているとは思っていなかった。ここまでSFチックなストーリーだとは・・・僕の大好物を書いてくれてありがとうございます。

 「幸運のイルカに出会えたら、片思いが動き出す」このフレーズがまずセンスが良すぎるんですよね。誰の中にもあるはずの片思いは、動こうとしなければ動かない。だけどそれをイルカは許さない。きっとそれは本来幸運なんかじゃない。だけど幸運になればいいなと思ってイルカは現れる。だけど現実はそんな簡単なんかじゃなくて、難しくてめんどくさくて、不運なこともたくさん起こってしまう。そんな現実を見せられても、幸運のイルカである海果はずっと、幸運のイルカであらせられ続ける。海果に幸よあれ・・・。っていうか僕海果がどういう経緯で生まれたのかみたいでござる。2巻ももちろんあるんですよね?

 物語終盤、夏梅と春瑠の決断をするシーンと夏梅と母親小雨さんと話すシーンで泣かされましたね。僕物語で故人の話をするシーン毎回泣いちゃう。故人でなくともその未来が見えるともう泣いちゃう。特に青春SFはそういうものが多いから大好物になり得る。MF文庫Jで刊行した「星降る夜になったら」もそのタイプであれはボロ泣きしたし、今でもとある2行読んだら泣く自信ある。

 エピローグ、冬莉の前にも表れてしまった海果。エピローグはプロローグになりえるもの。きっとこれは2巻が発売されるということでいいんですよね。

 僕一番最初物語とかまだなんも知らない状態で表紙見たときは「春瑠先輩かわいいなー」と思ってたんですが、後輩大好き侍の拙者として口絵見た瞬間「冬莉しか勝たん」ってなりました。叶わない恋を患う健気な後輩。拙者大好きでござる。性格もかなりストライクでしたし、バスケ部入るべきだった。なんで俺ラグビー部入ったの? 冬莉は「物静かな性格で本を読んでいること多いが、夏梅の前ではよく喋る。」いやもう好きな先輩では隠してるわけではないだろうけど本当の自分をさらけだすようなの大好き。ビジュアルも大好き。物静かな性格だけどスポーツ自体は別に嫌いじゃないし一緒にやろとかいったらやってくれそうな冬莉ちゃんまぢ大好き冬莉ちゃんの片思いが動き出すまでこの作品は絶対に終わらせない。なのであまさき先生は僕ら読者のためにも2巻を書いてください。絶対に。お願いしますなんでもしますから。

 そんなこんなで感想を書いたわけですが、終わらない夏を終わらせるのに2か月も経った今この作品の感想を読んでいる人がいるかはわかりませんが、この作品は絶対に読んでほしい。時間があるときにコツコツとでもいいので、気が向いたら読んでください。僕も嬉しいですし、何より作者様が一番喜びます。感想を読んでいただきありがとうございました。

 

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日和ちゃんのお願いは絶対 4 感想 ※ネタバレ有

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[あらすじ]

終われぬ恋の、続きが始まる――壊れた世界で生きる僕らの、最後の恋物語

「さようなら。深春くん」
 あれから、季節は巡り……数か月。
 日和のいない日常は、それでも続く。世界がもう壊れてしまって、混沌への道を辿っていると知っていても。
 そんななか準備を始めた文化祭。それは、失われる「日常」を守ろうとする深春たちの、精一杯の抵抗だった。そして、彼らがやがて結果を出そうとする、その頃に――

 彼女は、再び深春の前に現れる。

 葉群日和。
 世界を変える「お願い」の力を秘めた女の子。
 〈天命評議会〉に戻ると決めた、深春の彼女だった女の子が。

「とても、単純に。わたしは、頃橋くんの気持ちを知りたいの」

 日常を守ろうとする少年と、その終わりを知りながら帰ってきた少女は、ふたたび言葉を交わし――このセカイと同じように、終われない恋の、続きが始まる。

 

 日和と東京で別れてからの数か月、様々なことが起きた世界、起きる世界で、当たり前が当たり前でなくなった日常を過ごす深春や卜部たち。それでも今までの当たり前を、ハレの日を作るために動く深春たち。そんな中で、突然帰ってきた、何も知らないみんなは死んだとさえ思っていた葉群日和が尾道に帰ってきた。なぜ彼女は帰ってきたのか。そして深春はハレの日を作ることができるのか...

 

 ということで「日和ちゃんのお願いは絶対 4」読み終えました。なんていうか、その・・・辛いです。前巻では物語中盤で強毒化したウイルスが原因による刑部奈々の死が告げられ、そして今巻では卜部の両親がウイルスにより亡くなったことが明かされ、卜部姉弟は頃橋家へとお世話になる・・・これで辛くなるなって方が無理でしょう。

 一方その間、日和ちゃんは天命評議会で活動していて、「お願い」をp駆使し世界各国で災害対策や暴動の弾圧などをしていました。その四か月間で、日和は何百万という人を助け、何千万という人を犠牲にしました。そんなことをすれば悟りではないですが、ある種覚悟みたいなものができ、前より落ち着いた性格となったのでしょう。そんな日和を前に深春はきっと畏怖したのでしょう。

 文化祭の準備を着々と進めていく中、日和は難民キャンプに行き、そこの過激派組織に受け安堂さんが連れ去られ、殺害されていた。天命評議会は世界征服も可能な組織、もちろんのこと過激派が許さずリーダー格を潰しに来る可能性は十二分にあった。偶然日和と安堂さんが離れたときに襲撃され、顔に傷一つない状態で遺体を回収できたのはよかったものの、天命評議会なんて名前がつく前から、活動を始めた日和にとって最初の仲間を失ったことは、彼女にとって、起こるとわかっていても辛いものなのでしょう。もう何もかもが辛い。

 文化祭を作り上げていく中で変わっていく卜部との関係。というより卜部が変えようとしている関係。卜部は何を思い、何を想い動いていくのか。

 天命評議会ができた理由、迫りくる災害をなんとかして回避できないものかと画策するも、日和の「お願い」の力ではどうしようもないところまで来てしまった。それが何を意味するのか・・・。

 文化祭が始まり、そして始まるものには終わりが来る。文化祭を終えた深春は、日和と話しをする。日和の気持ちは、深春の気持ちは、そして世界は・・・。

 

 超大雑把に物語を話しましたが、ここで僕が話してない中で気になったのは「お願い」という力でさえ無力な相手。世界は変わる。これまでの世の中は終わりを告げる。そして最後に綴られた「耳をつんざく爆発音」。「日和ちゃんのお願いは絶対」のストーリーの終わりを告げる音。天命評議会は世界の秩序、平和を守るために発足され、事実人の手が加わっているものは彼女たちが手を下していた。だがしかし、きっと、相手は自然現象で、中でも一番考えたくない「隕石の衝突」や「惑星系の崩壊」などが、起こるのでしょう。いや、文化祭がまだやっている頃には、世界のどこかで崩壊が起きていたのでしょう。日本は、尾道は運がよかったのでしょう。文化祭が無事終われたことは、尾道の誰にとっても良いことなのでしょう。

 

 おそらく次巻が最終巻。そして岬鷺宮先生のもう一つの作品「三角の距離は限りないゼロ」と同時に終わりを迎える。こちらは世界が終わり、あちらは二重人格が終わり、スケールは違うようで、でも世界と人の命で天秤をかけるには二つとも皿からあふれてしまう。そんなストーリーがどんな結末を迎えるのか。楽しみで楽しみで仕方がありません。 最終巻を気長に待っています。

 

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