marukashi’s diary

色んなラノベの感想上げます。チラムネ界隈では「裕夢こんにゃろうの人」で関係者の中で話題です

このライトノベルがすごい! 2022 私が入れた作品、キャラクター、イラストレーター

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みなさんどうも、まるちゃんです!

今回は11月25日発売の「このライトノベルがすごい!2022」の、僕が入れた作品について話していきたいと思います。今回僕はありがたいことに協力者として参加することができたので、協力者としてネタバレには十分に気をつけて記事を書いていきたいと思います。

 

 まずライトノベル部門から、僕が入れた作品を順番に紹介、入れた理由などを話していきたいと思います。

 

1.プロペラオペラ

 この作品は小学館ガガガ文庫から刊行されており、僕がこの作品を読むきっかけとなったのは前回のこのラノ2021でTOP10入りして目についたからです。この作品は太平洋戦争の海の戦いを元にして、創作として新たな要素「飛行艦船」というのが追加されています。この「飛行艦船」を主軸に物語が展開されていきます。ライトノベルでは陸の戦いがモチーフとなるのは多い気はしますが、海がモチーフとなるのは、ましてや空が軸となる作品は犬村小六先生以外では滅多にないと思うので、とても新鮮でした。

 この作品のいいところは、戦争という重いテーマではあるものの、読み進めてみればやはりライトノベルとして読める作品という、犬村先生ならではの書き方をされていて、若い世代でもちゃんと読めるという点がすごいところでもあります。

 僕がこの作品をランキングに入れたのは、5割は五巻を読んだからです。読んでない人もいると思うので過度なネタバレはできませんが、一巻から続く「プロペラオペラ」を締めくくる完結巻。戦争の無惨さ、過酷さ、醜さ。その中で見つける小さな希望の光。その全てを描く文章に惹かれ、五巻の帯にあるあの言葉に全てを持っていかれたと言っても過言ではない。あそこまで綺麗に話を終えることができた作品もなかなかないと思います。

 各キャラクターが、主役でモブ役なんて存在しない。主人公黒之クロト、ヒロイン白之宮イザヤを初めとする空雷戦隊の乗組員全員が主役でした。誰か一人でも欠けていたら、きっとこの物語は途中で破綻していると思います。そんな作品をこのラノ一位にして、アニメ化アニメ映画化を実現させたいと思います!

 

2.ホヅミ先生と茉莉くんと。

 この作品は電撃文庫から刊行されており、前作の「あの日、神様に願ったことは」を読んで葉月文先生の前々作である「Hello,Hello and Hello」を読んでこの人の描く作品に惹かれ、「ホヅミ先生と茉莉くんと。」も買いました。

 この作品は売れているかと言えば売れていない専業作家のホヅミと、ひょんなことからホヅミをお世話することになった女子高生茉莉くんとのほのぼの日常ストーリー…かと思えばこの作品もライトノベルなのでしっかりと起承「転」結があり、ハラハラドキドキする場面もありました。二巻ではこの二人を軸に、新しい登場人物が出てきて物語を盛り上げていきました。三巻は十月発売作品なので投票対象外ではありますが、今までの登場人物たちで夏を満喫する物語でした。ホヅミ先生のモットーである「みんな笑顔のハッピーエンド」は葉月文先生のモットーでもあるのかなと思えるような結末、それはこの作品だけでなく、今までの「あの日、神様に願ったことは」「Hello, Hello and Hello」を読んだ人であればそのような結論になると思います。「みんな笑顔のハッピーエンド」の「みんな」は登場人物だけでなく、読者のことも入っているのだろうと思わせてくれる。そんな綺麗な文章を描く「ホヅミ先生と茉莉くんと。」を、葉月文先生を推していきます。

 

3.千歳くんはラムネ瓶のなか

 この作品は小学館ガガガ文庫から刊行されており、前回のこのラノ2021では見事一位の座に付きました。前回は二巻と三巻が対象で、今回対象の四巻から六巻では発売当時それ以上の盛り上がりを見せたからこそ、今回のこのラノではどんな結果となるのか楽しみです。

 四巻では今までの流れから言えば陽の問題に朔が手を貸すかと思えば、陽の問題に朔が手を貸し、朔の問題に陽が手を貸すという二人で高みを目指す物語でしたね。ここで陽が推しの人はもう揺らぐことなく、はたまたここで陽以外を推してた人は陽に揺らいだりと…僕は明日姉推しを貫いてます。明日姉大好き。

 五巻はみんなと作る夏の思い出、そして夏勉合宿に水着回。もうサマーシーズン。もうね、挿絵も口絵も何もかもがずるい。明日姉!明日姉!

そして最後にやってくる衝撃が強すぎてやばい。

 そしてシリーズ前半を締めくくる六巻。五巻からそのまま物語が続いていき、最後の衝撃を優空が優しく頭を撫でてくれるかのように物語を収め、でもその中には自分を抑える優空がいて、そんな優空を、朔が、夕湖が、チーム千歳が包み込んでくれた。シリーズ前半を締めくくるに相応しい六巻でした。協力者票と一般票で、今年何位となるのか、前回一位を取ってる分気になりますね。

 

4.春夏秋冬代行者

 この作品は電撃文庫から刊行されており、KAエスマ文庫から刊行されている「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」の著者暁佳奈先生の作品です。季節を巡らす四季の神から力を賜った四季の代行者。十年前消えた春の代行者「雛菊」は苦難を乗り越えて現人神として復帰した。暁 佳奈が贈る、季節を世に顕現する役割を持つ現人神達の物語。

 季節は巡る。それは当たり前のようで当たり前ではなかった。なぜ雛菊は消えたのか。どのようにして春は戻ってきたのか。それまでの苦難とこれから待ち受ける苦難。その中で成長していく各季節の代行者たち、奇跡を起こした代行者たち。読めば涙する奇跡の物語。今年の新作部門ではまず間違いなく一位を取るであろう作品と僕は考えます。

 

5.ミモザの告白

 この作品は小学館ガガガ文庫から刊行されており、作者八目迷先生は第13回小学館ライトノベル大賞で「僕がウラシマトンネルを抜ける時」という作品でガガガ賞・審査員特別賞を受賞し、改題して「夏へのトンネル、さよならの出口」でデビューしています。二作目には「きのうの春で、君を待つ」を刊行されており季節シリーズとして三作目が刊行されると思いきやまさかの「身体の性別、心の性別」という僕が読んできたライトノベルのなかで初めて見る題材であり、ライトノベル界隈で反響を呼んでいましたね。季節シリーズでは「青春SF」をもとにしており、今回の「ミモザの告白」は正確なジャンルを表す言葉を僕は見つけれませんが、強いて言うなら「群像」なのかな? 今の世の中のどこかでありうる一つの物語。僕らの現実と切っては切り離せない物語だと思います。

 

 続いてはキャラクター部門TOP3の紹介です。まずは女性部門から行きます。

 

1.西野明日風

 「千歳くんはラムネ瓶のなか」に登場する千歳朔の頼れるお姉さんポジション。朔も敬意を込めてるのか「明日姉」と呼んでいますね。一巻と二巻では、朔にとっていざという時の相談相手である明日姉。でも明日姉は相談されなくても朔ならそうすると思いながらも話を聞いてあげるいい先輩。でも三巻から明かされる朔と明日姉の過去、そして明日姉としての顔ではない、明日風としての顔が現れる瞬間。本当の明日姉を見せられた時、きっとあなたも明日姉を推すでしょう。まずはチラムネを読んで、胸を締め付けられてください。

 

2.白花茉莉

 「ホヅミ先生と茉莉くんと。」に登場する茉莉くんこと白花茉莉、主人公であるライトノベル作家ホヅミ先生のお世話をする女子高生。容姿端麗家事万能。嫌な顔ひとつせずホヅミをお世話する彼女に、お世話されてるホヅミを羨ましがらないはずがない。三巻では、ホヅミのために、ホヅミを信頼し、物語を盛り上げた彼女。そんな彼女がなぜホヅミのお世話をするのか、そんな彼女の抱えてる問題を、読まずにはいられない。そして彼女を知ったらもう、読者は彼女の虜になる。みなさんぜひ「ホヅミ先生と茉莉くんと。」を読んで彼女の虜になりましょう!

 

3.白之宮イザヤ

 「プロペラオペラ」に登場する白之宮イザヤ。日之雄の王族の血を引く女の子。王族だからと言って女の子じゃないわけがない。ちゃんと恋する女の子。ガメリアでホットドックを食べて嬉しそうな顔をする女の子。そんな女の子は王族の血を引いているから、戦争において日之雄の民を奮い立たせるために戦場へと親友である風之宮リオと一緒に送りだされる。イザヤは艦長を務めるにあたり「乗組員みな家族」という理念を持ち、乗組員を愛し、乗組員に愛され、イザヤの船はいつも元気で生活している。艦長を務めるイザヤと、女の子の顔をするイザヤ。そのギャップにやられない女の子はいない。

 

 さぁ続いてはカッコいい男性キャラクター部門に行きましょう。

 

1.黒之クロト

 「プロペラオペラ」の主人公である黒之クロト。彼は幼いころにイザヤにプロポーズをした。その理由が「イザヤの権力」であり、イザヤと結婚すれば俺がこの国の王となる。ということでイザヤはそれを許さず、国家反逆罪ということで日之雄を追放された。逃げた先は自由の国ガメリア。だがしかし、ガメリアでは白人至上主義であり黄色い肌を持つ日之雄人であるクロトは迫害とまではいかないものの、いい扱いを受けなかった。その中でクロトは自分で生きる道を見出し、カイル・マクヴィルという男に引き抜かれた。しかしクロトはカイルの野望に利用された。その野望とは「イザヤを私のものにする」。そんな野望を潰すためにクロトは日之雄にもどってきた。イザヤの権力を理由にプロポーズをした彼が、本当にそれだけが理由だったのかはわからない。でも日之雄に戻ってきた彼の活躍に感動しないものはいない。彼のカッコよさは物語がすべてを語っている。プロペラオペラを読んでクロトのカッコよさを見たり、時には彼をバカにしましょう!

 

2.鬼束響鬼

 「プロペラオペラ」に登場するイザヤが艦長を務める船の兵曹長を務めていた。個人的には主人公クロトにおける父親的存在がこの鬼束だと思う。一巻から続くプロペラオペラで、元王族であるクロトに対してイザヤたちを除いて唯一対等以上に話ができる男ではないかと思います。それに続いて他の乗組員もクロトに対していい意味で暴言を吐くことができて、艦内の雰囲気を良くしていたと思います。そんな鬼束の最終五巻における活躍に、あのセリフに、涙しないものはいないと、断言します。クロトがイザヤを守るために始まったこの物語に、鬼束響鬼はなくてはならない存在であったと僕は断言できます。

 

3.千歳朔

 「千歳くんはラムネ瓶のなか」の主人公である千歳朔。一巻から始まるチラムネにおいて、この男なくしてチラムネは語れない。真のリア充の頂点に君臨するこの男。だがしかし、物語が進むごとにカッコいい千歳朔がどんどんカッコわるい千歳朔になっていく様子に、幻滅するどころか人間味を感じてむしろ良いと人気に拍車をかけていく。大人なようで、年相応の幼い子供が選ぶ選択に読者はきっと感動をする。だが千歳朔よ。親に許可をもらっているからって同じクラスの引きこもりの部屋のベランダの窓ガラスを割って侵入するのはどうかと思うぞ。

 

 最後に、イラストレーター部門。

 

1.raemz

 「千歳くんはラムネ瓶のなか」「白百合さんかかく語りき。」などのイラストを手掛けるアメリカ出身のイラストレーター。透明感のあるタッチと季節の匂いが香るようなイラストに、魅了されない人はいない。この人の強いところの一つに、「背景」があります。主にラノベを手掛けるイラストレーターはキャラクターはかけるのですが、背景に力を注ぐ時間がない人が多く、挿絵などではキャラクターを描いて背景真っ白の作品も少なくありません。そんな中でもraemz先生は「千歳くんはラムネ瓶のなか」がデビューであるものの、背景もしっかりと描いていてとてもすごいイラストレーターだと思いました。

 

2.溝口ケージ

 「さくら荘なペットの彼女」「青春ブタ野郎シリーズ」「14歳とイラストレーター」などを手掛けるイラストレーター。Ntypeという名前でサークル活動もしていらっしゃいます。「さくら荘」から始まる鴨志田先生とのコンビで、十一年間の成長を見ることができ、人間継続すればちゃんと成長ができるということを認識させてくれます。溝口ケージ先生のイラストは「感情」があるように思えます。楽しい描写なら先生も楽しく描いているような、辛い描写なら描いていて辛いと思っているような、そんな風に描くイラストに、物語と相まって読者の感情もより強く引き込まれていくようなイラストだと思いました。

 

3.フライ

 「弱キャラ友崎くん」「あの日、神様に願ったことは」「キミの忘れかたを教えて」などを手掛けるイラストレーター。最近では成年誌の表紙も描いているマルチなイラストレーター。フライ先生のイラストにおいて「色鮮やか」という言葉がマッチすると思います。髪の毛やその色、表情や服装。その扱い方はもはや色を司る神なのではないかと疑うほどに。そんなフライ先生は二年連続でこのラノの表紙を飾るという偉業を成し遂げています。今年こそフライ先生がイラストレーター部門一位を取るのでしょうか!楽しみです!!

 

 長々と記事を読んでいただきありがとうございます。僕個人でライトノベル部門協力者票のランキングを集計していますので

 


、正式に発売されたらこのラノ順位の感想と一緒に、協力者部門でのランキングを書いた記事を投稿しようと考えています。読んでくださると泣いて喜びます。( ;∀;)

 

〇各種リンク

このライトノベルがすごい! 2022

宝島社

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・プロペラオペラ

ガガガ文庫

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・ホヅミ先生と茉莉くんと。

電撃文庫

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・千歳くんはラムネ瓶のなか

ガガガ文庫

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・春夏秋冬代行者

電撃文庫

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ミモザの告白

ガガガ文庫

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イラストレーターの方々

・raemzさん

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溝口ケージ

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・フライ

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最凶の魔王に鍛えられた勇者、異世界帰還者たちの学園で無双する1  レビュー

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[あらすじ]

女神の恩恵たる固有異能を持たず、世界を救えなかった少年・九条恭弥。 彼は数々の世界を救ってきた帰還勇者達が集う異次元
レベルの学院において“落伍勇者”と馬鹿にされていた。
しかし彼こそは、三千もの世界を滅ぼした最凶の魔王・フェリスと異世界で三万年もの間修行をした、最強異質の勇者!!
恭弥の潜在能力は、数々の最強異能を持つ勇者たちなど、相手にならないほど強大で――!?
最凶の魔王に鍛えられた少年の無双譚、開幕!!

 

 最近の俺TUEEE系を初めて読んだ感想としては、「いい作品に巡り合えた」と感じました。他の作品のレビューなどを見ていると「案の定」だったり「まーたテンプレ」みたいなのをよく見ますが、この作品はその中でもテンポ、主人公の立ち位置立ち回り、サブキャラの特性などかなりレベルの高い作品だと思います。今回のHJ文庫公式レビュアープログラムでこの本を頂いていなければきっと読んでないであろう作品でしたので、とても運がいいと思いましたね。

 俺TUEEE系はどちらかと言えばモブたちの所有している「固有異能」とやらを使って無双している作品が多いですが、こちらは師匠が強く修業期間も長いという特殊事例ではありますが、最初から最後まで己の力で最凶となっているので、そこまで主人公が鼻につく感じもなくすらすらと読み進めることができました。ただ一つ気になったのが、挿絵が大体人しか描かれていないので、そこのレベルが上がると、作品としての質も上がるのかな?とは思いました。今のままでも十分レベルはありますが、その中でも成長できる部分はやはりどの作品にでもあるのだと思います。

 

 タイトルに「1」と書いてある通り、来春には2巻の発売も控えているので最近の俺TUEEE系飽きたなとか、逆にラブコメや青春物を読んでいる僕みたいな人が読んでみるのもいいと思います。ぜひみなさん読んでみてください!

 

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HJ文庫

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家事万能の俺が孤高(?)の美少女を朝から夜までお世話することになった話。 レビュー

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[あらすじ]

家事万能&世話焼き体質から「オカン」のあだ名で親しまれる、ちょっと不愛想で強面の男子高校生・観音坂鏡夜。 そんな彼が家事能力を見込まれて紹介されたバイト先は、孤高の美少女として知られる高校の同級生・小鳥遊祈の家政夫だった! しかし祈の中身は実はポンコツ&コミュ障の残念女子で――!? 「そ、それ! 私のパンツ!? み、みみ、見ないで!」 「ドやかましいわ。洗濯するんだよ、寄こせ」 朝から夜までずっと一緒な半同居型学園ラブコメ、開幕!

 

 10月にHJ文庫様からいただいたこの本も11月になってようやく読める時間ができた。やはり仕事はつらい。

 

 この作品は、雑にいえばまぁ最近よく見るやつ。丁寧にいえばよく見る中でどんなやつになるのか。の二つの感情で読み始めると思います。その中で読み終わった感想としては、ラブコメに繋げる分ラストあのような形になるのはおかしくはないですし、作品の中で彼が彼女の成長を見守ったり、助けたり、成長の機会があったりと、まぁ案の定よく見るやつ。でもその中でも祈の頑張りはすごいものでした。人が成長していって、今の自分がある。祈はなぜあそこまでというのもなんですが、人と話すのによく緊張をするのか。きっと過去に理由があるのでしょう。果たしてそれがなんなのかが気になりますね。

 

 料理の勉強にもなったり、面白いシーンがあったりと、深くは語りませんが読む価値はあると僕は思います。皆さんのお財布に余裕があればぜひ読んでみてください!

 

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HJ文庫

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最強支配の魔王使い1 レビュー

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[あらすじ]

魔王を従わせる力を手にした少年、最強ジョブ『魔王使い』で無双する!!

魔物使いの冒険者・ルインは無能として勇者パーティーを追放された。司令塔という陰の功績を知られることもなく……。
しかし、封印された七魔王の一人、死の魔王・サシャを見つけた瞬間、彼は魔王を従える力をもつ魔王使いに覚醒!! さらに封印を解くと同時に、魔王・サシャをテイムしてしまい――
サシャを仲間とし、魔王の力を引き出すことに成功したルインは、人と魔族の争いの原因である全ての魔王を従えようと動き出す。
魔王を統べる少年による、圧倒的無双ファンタジー、開幕!!

 

 はい、ということで「魔王使いの最強支配」読み終わりました。9月最初で最後の読者がこの作品となったのでやはり仕事は辛いです。

 この作品の最初は最近広告でよく見る「パーティの邪魔だから消えろ」と言われる、まぁありきたりなやつではあるものの、その後の展開では普通であれば討伐対象となり得る魔族と共存を図ったりと、最近あまりみない珍しい設定となっていました。各キャラの魅力は様々であるものの、やはり定番の幼馴染や努力型主人公やこれは定番なのか?魔王ヒロインなど、その子たちが描くコメディやバトルは目を見張るものがありました。

 なろう系と言って切り離すのは勿体無い、一度読んでみる価値がある作品だと思いました。

 

公式HP

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プロペラオペラ 5巻 感想 ※ネタバレ有

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[あらすじ]

日之雄ガメリア最終決戦、開戦!!

極東の島国・日之雄。その皇家第一王女・イザヤ。幼なじみのクロトは10才の時にイザヤにとんでもない“狼藉”をはたらき皇籍剥奪された曰く付き。しかしふたりは今、第八空雷艦隊司令官と、超キレ者首席参謀! ガメリア大統領となったカイルは、史上最も巨大凶悪な飛行戦艦「ベヒモス」を建造し日之雄に迫る。奴の戦争の目的は、イザヤを娶ること。バカか!! そんなこと許せるわけがないクロトは、カイルの仕掛けた「三角関係大戦争」の直接決戦を断固受けて立つ! 作者・犬村小六は、今巻に、自身の生きる力の全てを叩き込んだ!

 

 ついに来ました完結巻。今までの表紙とは打って変わったイザヤの笑顔。バッドエンドなわけがない! というわけで5巻の感想を書いていくんですが、ただ一言。この作品に出会えてよかった。やはりこれにつきますね。 今までの話のすべては、この最終決戦のためへの布石。クロトがイザヤにとんでもない狼藉を働いたからこそ、ここまで物語が大きく展開されたのだと思います。

 5巻で一番よかったのはベヒモスに向かう第八空雷艦隊がベヒモスに向かっていくところですね。あれもう各艦が落ちていく描写。クロトが艦長の名前を呼ぶシーン見るだけでもう涙が出てきます。あれを外で書いてる犬村先生はそりゃ店員に不審がられてもおかしくはないでしょう・・・。しっかりきまった衝角攻撃。それでは終わらぬ接舷斬り込み。鬼束と平祐の背を踏み越えいくクロト。鬼束を惜しむクロト。鬼束に誓うクロト。ここのシーンはほんとに涙ボロボロ落ちていきましたし、感想書くときに衝角攻撃とか接舷斬り込みの漢字間違ってないか確認するためにそこらのシーン読み返しただけでももう涙がボロボロこぼれていきます。本当にこの作品に出会えてよかった。このラノ1位にしてアニメ化までもっていきましょう。この作品は絶対にアニメ化して全世界に送り届けるべき作品です。

 東京決戦が終わり、リオと再会するイザヤ。無事日本に戻ってこれてよかった・・・そのままイザヤの父に掛け合い、戦争を終結することを頼みに行く二人、各地方にいる軍人たちにそれを懇願しに行く二人。戦争を直に経験した二人だからこそなし得た降伏でしょう。 戦争は終わり、復員輸送船で最愛の人の帰りを待つ二人。そんな期待をいい意味で裏切る速夫とクロト。リオと速夫、イザヤとクロト、そしてユーリとトムスポン。この世界に生きる人々がみな幸せになれることを、何気ない平和な時間が、ずっと、永遠に続くことを願ってます。カイル、お前が日本で成り上がるのを楽しみにしてるぞ。 赤子ができたイザヤに対してのクロトの反応が将来親バカになる姿を彷彿とさせてすごいよかった。結局あいつは誰よりも人間なんだよなと思いました。

 この最終巻は、プロペラの歌劇の完結に相応しい物語で、やっぱり笑いあり涙ありの傑作だと思います。4巻の引用RTキャンペーンの美麗イラストプリントは本当にありがとうございました!オンラインショップとかでもいいので5巻のもほしいです!5巻のキャンペーンのボツ原稿も楽しみにしてます!

 この作品は絶対にアニメ化するべき作品ですので、意地でもこのラノ協力者になってこのラノ2022文庫部門第一位にするべく動けたらなと思います!

 まだ飛空士シリーズは読めてないので近いうちに読みたいと思います。

 犬村小六先生、雫綺一生先生、編集の湯浅さん。この人間賛歌、プロペラオペラという作品を書いてくれて、プロペラオペラという作品の美を書いてくれて、プロペラオペラという作品を世に出してくれて、本当にありがとうございました。心より感謝します。何度読んでも涙を流せる作品に出会うことができて本当に良かったです!

 

 ここまで拙い感想を読んでいただき、ありがとうございました。

 

各種リンク

ガガガ文庫

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千歳くんはラムネ瓶のなか 6巻感想 ※ネタバレ有

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[あらすじ]

私を見つけてくれて、ありがとう

すべては変わってしまった。唐突に、劇的に。どうしようもないほど残酷に。けれど、ひとりで塞ぎ込む時間を、彼女は与えてくれなかった。「あの日のあなたがそうしてくれたように。今度は私が誰よりも朔くんの隣にいるの」――1年前。まだ優空が内田さんで、俺が千歳くんで。お互いの“心”に触れ合ったあの日。俺たちの関係がはじまったあの夜を思い出す。優空は言う。「大丈夫、だいじょうぶ」月の見えない夜に無くした何かを、また手繰りよせられるというように。……俺たちの夏は。まだ、終わらない。

 

 

 ついにでました、人気沸騰中のチラムネ6巻。何を書こうかと迷いますが、ひとまずは物語の順番で感想を書いていくことにします。 大体2万文字くらいは書いているので、一気に読んでくれるでもいいですし、ちょっと時間はかかりますが、2回目3回目読むときの片手間にこの感想を見てくれると嬉しいです。でもやっぱり何より熱を込めて描いたこの感想を、まぁ感想というより読みながら実況みたいなものですが。それを読んでくれることが、何よりも嬉しいです。

 

 プロローグは優空のお話。優空の心の外と内、秘めた思いと大っ嫌いな人。真っ暗闇の中から、私を見つけてくれた人。新月に願った、普通の想い・・・

 2巻以降のプロローグは物語の始まりを告げる鐘の音のような、ヒロインの心情描写から始まっていくので、自転車で坂道の駆け上るような感じに力強く、チラムネという世界に入り込ませてくれます。すごい(語彙力)。ネタバレ有だから普通にいうけど、ここにあった『本当は大切にしたかった記憶を。』は、まず間違いなく優空の母親のことなんだと思います。優空は一年前までは家族を困らせまいと、家を出ていった母親がいつも言っていた「普通」という言葉に囚われ、波風立てず生きていこう、生きていくと決めていたのを、そのために張っていた透明な壁を、朔にすんなり破られて、『本当は望んでいなかった普通という言葉を、本当はずっと息苦しかった生き方を、本当は大切にしたかった記憶を』「本当は大切にしたかった母親との思い出を」『真っ暗闇を、照らし出してくれたから』

 

 五章から物語が始まっていきましたね。サックスを吹く優空と、その音に包み込まれてる朔。夕湖を放っておいていいはずのない優空が、朔のそばにいる・・・。そんな状況を朔は拒むも優空がいつもどおりに接してくる。それはきっと優空が選んだ「一番」なんだと思いました。例え親友だったとしても、それが心の中の一番とは限らない。

優空はあのなかで、唐突に起こった出来事なはずなのに、自分が心に決めていた、自分のするべきことをしていたのは、自分の芯があったからなのかなって思いました。

 

 『答えなんて、最初からわかってたのに。”理由はある”、決断したのも自分だ』

 答えがわかっていたのに、夕湖が告白したのには”理由がある”ってのは、単純に考えれば後に朔が説明していたことに結びつきますが、実際の理由は別にあって、その理由の根本を、最初を優空が経験してたから、優空が最初にわかったのかなって思いました。・・・あれ、これ今後の物語の感想書くとき内容被りそうだな・・・まいっか。

 朔がいなくなった教室で、最初に動き出した優空。一瞬目が合って、泣きだしそうに顔を歪めた優空。ちゃんと選んだことにほっとしたような夕湖。でも、それでも、心から大切に思える親友と、好きな人が同時に私の前からいなくなっちゃったら、それはもう叫ばずにはいられないよね。

 教室を飛び出していく夕湖、それを追いかける海人。海人がどれだけ優しくしても、どれだけ夕湖のために人を殴れても、夕湖はそれが朔だったらいいなと思っている。それに気づいてなお夕湖に手を差し伸べる海人は・・・夕湖のために感情を殺してる海人は、掛け値なしに漢だと思います。

 陽がシュートをし、悠月がそれを眺めて自分の心と向き合って、ご飯を食べに行くとき、芝の上にごろんと寝転がったとき、彼女たちがぎゅっと手を繋いだのはエモエモエモーショナルだと思います。二人は一年以上相棒をやっているからこそ、互いの心の内がわかっているからこそ、互いを慰めるわけでもないからこそ、どちらともなく、ぎゅっと手を繋いだのだと思います。ここの挿絵ほしかったなぁ・・・

 健太と和希が一緒に帰るとき、和希は本心を語ってました。そこで気づいた健太の本心『それって神のせいってことに、なるの?』という言葉。そのあとに書かれている『俺だからこそ』ってのは二つの意味があると思います。一つ目はそのあとにもあるように、健太は朔に救われたからってのと、一応面子があれでも「仲のいいグループ」の瓦解を唯一経験してるから、あのセリフが出てきたのだと思います。それこそ今この状況において一番理解しているのは優空を除けば健太な気がします。さすが神。

 それ自体には気づいていた和希、かばう気はないが攻める気もない。でもなんであんな言い方をしたのか、理由が『悠月が、哀しそうな顔してたから』っていうもっともらしいかわいい理由だったので、やっぱり5巻から和希の株は爆上がりですね。今度非公式応援垢でメンズ選挙があったら和希に入れます。

 

 優空が料理してる間、朔は風呂に入り、嫌でも起きたことを振り返ることになります。そのなか、最後の方にあった『自分自身の気持ちにさえ向き合っていないのだから』とあります。僕は読んでいるとき、「夕湖ではない誰かではあるが、少なくとも夕湖ではないから」って感じなのかと思ってました。ですが物語終盤で明かされて、認識を「夕湖ではない誰かではあるかもしれない、だが夕湖ではないというわけでもない」という風に改めました。夕湖にとってのトクベツは朔しかいない。では朔は?朔にとってのトクベツは誰なの?ってなったとき、それは夕湖であり、悠月であり、明日姉であり、陽であり、優空でした。果たしてそれが、どれが恋と呼べるトクベツなのか、これは誰にもわかりません。朔にもわからないのですから。これで言えば、読者にとって、誰エンドで終わるかはまだわからないが、少なくとも夕湖ではない。ではなくなったので、最高の形といえるかもしれません。

 たしかに、5巻までに朔の家のシーンはちょくちょくあり、そのなかにこれとかあれとか夕湖のものっていう描写がありましたが、最終的にこのオムライスのシーンに繋がってくるのって、おそらく裕夢先生自体にも意図があったわけではないかもしれませんし、あったかもしれませんが、なんというかもうずるいです。許しません。

 あと関係ないですが、オムライスを食べて泣いてるシーンを見て、「Charlotte」の乙坂有宇を思い出しました。てかまって、この挿絵見て重大な真実に気づいた。これに気付けたの天才では・・・

 優空が朔の家に泊まることにはまぁ違和感がなかったんですが(それはそれでおかしい)優空が、『私のことをそういう女の子として扱ってくれてるんだね』って言って、朔が否定してない時点で一つ気づけたはずなのでは今更ながらに思いました。まずここで否定しないってことは朔の心の中には優空がいることになります。ですが優空はおちゃらけて「お母さん?」と返しています。つまり優空自身が「彼の中には私がいる。だけど私だけがいるわけじゃない」と考えていたのかなと思うと、やはり6巻の半分以上が優空の手中にあったのかなと思いました。・・・深読みしすぎてるかな?

 朔がごねていると悠月の話を出したり『これが初めてってわけでもないんだし』ってあったので、絶対過去に優空が変わったきっかけのタイミングで泊めたんだなって確信しました。ていうか『あの日のあなたがそうしてくれたように。今度は私が誰よりも朔くんの隣にいるの』って言ってるからまぁそうだよなって思うよね。

 さてここからは優空と続くもののみんなと会う展開が起きてきますね。覚えている方がいるかはわかりませんが、僕の書いた5巻考察の記事の最後の方に、みんなと会う展開があるのでは?と予想してましたがちゃんとありましたね!ただ夕湖はなく、代わりに和希&健太があったのと、場所の予想はしっかり外れました!悔しい・・・
 はいではまずは明日姉から!さっそくいつものパンチを入れてくる明日姉に、反応しづらくなっている朔、『用事がないと、かけちゃ駄目?』とかいう明日姉クッソかわいいわ。ちなみにここで豆知識、5巻で口絵がなかった明日姉は挿絵が2枚ありました。今回では口絵があって挿絵がなかったですね。ここはおそらく本編ではラノベ自体の挿絵限度的な何かか、raemz先生の仕事量的な何かであった枚数によって仕方なく削った。その代わりの口絵なのでしょう。明日姉かわいかったよね。

 朔の口調や口ぶりから何かあったことを察する明日姉。蚊帳の外は哀しい。一年の距離があるからこそ、知らない傷は深いものとなる。だからこそ、普段は関われないことによって、朔の気障ったらしい行動によって、部活のことを一番に相談した君が、何も言わずに野球を再開したのは嫌だったんです。もちろんそれがすれ違いによって起きたのだとしても、例えそれでも、嫌だったから『もう二度とっ!』の語気が強くなったんでしょう。話を聞くことしかできない明日姉が、何か当事者になりたくて、だから強くなったんでしょう。朔は人のことは考えて、手を差し伸べることはできるけど、人の立場になって考える。はあまりしてこなかったのかもしれません。

 事情を聞いた明日姉は、「こんな話をさせてごめんね」って意味で『ごめんね』といったのではなく、「思い出させてごめんね」って意味で『ごめんね』と言ったんだと思います。前者だと、明日姉がそう思うような人間ならまず聞いてこないと思います。「何かあったんだね」で済ませて、別の話をしたかもしれないです。後者であれば「そんなことがあったんだ。つらい思いをしてるのにその傷に触れてごめんね」って感じの意味なんだと思います。明日姉は編集者を目指している身。そして色々な作品、文章に触れてきた身。作家ではないけれど、それでも文章と密接に関わる仕事を目指しているから、伝える言葉が見つからない。だからこそ、朔は何よりも救われたんだと思います。ただ『つらいね』という言葉が、何よりも朔の本心に近かったから、朔もぽつりと弱音を吐けたんだと思います。

 電話を終えた明日姉は、朔に起きた出来事について、頭が追いついていませんでした。きっとまたやっかいごとに首を突っ込んだんだろうなぁ。そんな気持ちで聞いた内容は、夕湖の告白という、明日姉にとっても大きな爆弾で。夏勉で一緒にいた時間。本当のクラスメイトになれたような気がした。そんな余韻が抜けない。なんて、ふわふわ浮かれてるうちに、明日姉のいないところで、勝手に物語は進んでいて、気づいたときには終わっていた。きっと、明日姉にとって、野球をまたやることになったのを伝えてくれなかったことより、今回は伝えてくれたのに、それでも嫌な気持ちになったと思います。一年違うだけで、当事者にはなれず、傍観者にしかなれない。選択する資格すら持ち合わせていない。柊さんみたいに告白してもまた学校は始まる。そこで関われる。でも私は? 私が告白したとして、想いが届かなかった瞬間に、ぷつんと糸がきれてしまう。それこそ実際にあり得ることだ。でも、もしその時朔兄と柊さんが付き合っていたら、きっと朔兄との関係はそこで終わってしまうのだ。『離れて暮らす覚悟はできてても、離れる覚悟はできていなかった』・・・明日姉推しとしては、ここの明日姉を見ていてすんごい辛かったです。他の作品でも一歳差あるヒロインは、何らかの形で繋がりはあると思います。冴えかのの詩羽先輩はゲーム制作。いもうざの彩羽はゲームや、お隣さんであるなど・・・。ゲーム制作は、完成まではずっと関わっているようなもの、お隣なんてむしろ関わらないことの方が少ない場合のが多い。でも現実にはそんなものは全くなくて、創作だからと仕方ないと思えることのが多いと思います。では明日姉は? 明日姉のこの現状は「過去に会った初恋の女の子」はちょっと創作感ありますけど「よく話す先輩」は現実でも結構あり得ると思います。そんな現実的な状況に置かれてる明日姉を見るのは、感情移入しすぎてしまって、酒を飲まないとやってられません!(飲めない)

 電話を終えた朔は、適当に時間を潰して家に戻りました。何かあった時のためにとチャイムを鳴らしたのは朔らしいなと思いました。出迎えてきた優空と一緒に部屋に戻る朔。コーヒーを準備しようとして、『もう真夜中の入り口だぞ』と言う朔、優空は『コーヒー飲んでも余裕で寝られるって”前に”』と返します。そこで朔は『っ、』ってなってますね。優空が一度目のお泊りの話をすると毎回朔は『っ、』ってますよね。まぁ現状が現状なんで仕方ないと思います。あとの『それにあのとき、すごく安心できたから』にも『そっ、か』と一度つまづいています。そこから朔は、夕湖の話をし始めました。琴音さんとの約束を破った朔、琴音さんのお願いを聞き入れることが難しくなった優空。声を震わす優空のために、チボリの音量を上げました。でも優空は、泣かないと決めていたから、涙を見せませんでした。

 

 ここからは夕湖のお話。海人が夕湖を送り届けて、海人が望んでいた夕湖の母親との接触。でも海人は自分のことはクラスメイトとだけ伝えて立ち去っていく。これはきっと、海人の思っていた接触の仕方ではないから。海人は、夕湖に紹介してもらいたかったんだと思います。だからここではすぐに帰ったんだと思います。それと、夕湖のために。

 夕湖の話を、しっかりと聞く琴音さん。四日間の出来事を枯れそうな声で全部ぜんぶお母さんにぶつけて、慰めてくれ・・・るかと思いきや、ちゃんといつもどおりの感じで『まぁ、恋のステップとしては大間違いだったねー』と言ってきました。この琴音さんの安心感ある話し方には思わずクスッっとしました。琴音さんは『私なら、絶対に夕湖と同じ選択はしない』『だからこそ』『あなたを誇りに思うよ。真っすぐここまで育ってくれて。大切な人を大切に想える子になってくれて』のこのセリフ。この時点で「夕湖は朔が好きだからって理由だけで告白したんじゃない」っ気づくべきでした。そもそも『夕湖だってわかってたんでしょ? このタイミングで告白したって、きっとうまくはいかないってこと。本当はまだ早いって』っていうセリフで、今まで告白せずとも好意を伝えてきた夕湖が今このタイミングで告白するのはおかしいはずです。読んでる時このことに違和感はあったけどその意味は全然わからなかった・・・。読み終わった今考えると、この『大切な人を大切に想える』っていうのは、単に朔に対しての気持ちじゃなくて、優空や悠月、陽に対しての『私は朔が好き‼︎』というセリフによって、牽制していた状況を白紙に戻すとまでは行かないにも、同じ立場として好きな人を見ることができるようになるためのものなんだとわかりました。これに関してはもちろん夕湖にも原因があるので、夕湖健気で泣けるとかが全くなくはないですが、そんなに大きくもないです。でも優しいすごい強い。

  

 朔と優空の二度目の添い寝シーン(少し違う)

ここで優空が夕湖の話をするのは特におかしくないんですが、それをするときの『変なの。こういうときどんな話をすればいいのか、教えてくれたのは朔くんなのに』というセリフ。これは一度目に二人で話す時に、朔は優空に「お母さんの話」を聞きました。優空にとってお母さんは「大切だけど、失くしたもの」。今の朔にとって夕湖はそれに該当する気がします。そう考えると優空のこのセリフにも納得が行きますね。

 夕湖を語る二人。最初に思ったのは、「裕夢先生にしては珍しくセリフだけだな」と思いました。ここで二人の心情描写に触れることなく。というより、二人の心情はこのままなんだ。と伝えるかのようにセリフだけを書いていて、それだけで二人にとって夕湖がどれだけ大切な存在なのかというのを思い知らされました。ずるいよ裕夢せんせ。

 二人で話してて、野球部の話になった時、優空がいつもグラウンドを見てた時に『あれ、でも夏休み中って俺』っていうこの意味、過去話の時にありますが、優空が朔の練習を見てる時、朔は走り込みをやらされてました。おそらく朔は「夏休みって走り込みしかしてないよな?」って続けようとしてたんだと思いまさ。

 この最後の地の文にある『きれいな飴玉を拾い集めていよう』というセリフ、きっとこの飴玉は夕湖との思い出という意味で出たやつなのかなって思いました。夕湖との思い出を話していようって意味で。なんでこんな表現出てくんの意味わかんない!!!!

 

 さぁここからは長い長ーい、これで1冊作れるんでないかってくらいの、優空と朔との出会いのお話。 新入生代表挨拶を任された優空、勉強より音楽をしている方が楽しかった小学生のころ、ある時期に決心してからは、家族を安心させるために毎晩毎晩遅くまで予習や復習に励むようになった。 このある時期というのは、母親が突然家を出ていったときなんでしょう。この時期から「普通」であり続けるために、勉強を頑張っていたんだと思います。小学生のする決心じゃないよね・・・

 『ただみんな、どうしていいかわからなかっただけだ。』というセリフ、最初は休み時間にも勉強をするようになった優空に対して、みんなどう接すればいいのかわからなかったんだと思ってました。でもやはりここでも母親が出てったことが関係していて、「母親のいない内田さんと、どう接すればいいかわからない」というのがあったんだと思います。

  優空にとって、『物静かな優等生』という立場は何よりも「普通」で心地良かったんだと思います。わからないことは聞かれるけど、それは自分にとっても特に問題ないことだったから、その役割があっても「普通」に近かったから心地良かったんでしょう。小学生のころなんて遊んでた記憶しかないですよ僕。もはや宿題なんてやってませんでしたし。

 中学に上がるころには「なんかみんなに勉強教えてくれるいい子」っていう、学生生活には当たり障りのない、特に何か起きるわけでもないであろう肩書を手に入れ、望んだものが手に入ったように感じる優空。この立場であれば、平和に過ごせるであろう生活を、普通に生きて行けるであろう生活を、望んでいました。最後まで読んでるからわかるけど、大きなきっかけがあったからこう考えるようになったと思う。でも読んでる時はそのきっかけがわからないから、なんでそう考えるんだろうって違和感はあるよね。おそらくそれがなかったら優空は藤志高校に来てなかったのかと考えるとうーんってなりますよね。今が幸せなら、OKです!

 入学してすぐに「物静かな優等生」という扱いを受けるようになった優空。偏差値が高い学校だから地味で大人しい子という立場ぐらいかと思ってたら、新入生代表あいさつという少し出来すぎた結果によって、早々に馴染んだ役割へと押し込んだ。でもそんなある日のホームルーム。例の事件が起きてしまった。そして最後に言った『あなたにそんなこと言われる筋合いはないと思います』というセリフ、5巻では夕湖サイドのため、優空の内心は書かれていませんでしたが、今回では書かれていますね。すっごい朔に腹を立てていて面白いです。人生ハードモードとまではいかないまでも、普通ではない体験をした優空に対して、人生イージーモードを送ってきたであろうと思う朔に対してあのセリフを言われれば確かに腹も立ちます。これは仕方ないことではあるけど、朔の家の事情を知らないからこそ腹を立てれたんでしょう。仕方ないです。

 次の日、朔と会うとやっぱりけんか腰になる優空。朔に対して敬語を使い、うまくごまかそうとするけど、やっぱり朔には見破られてる。透明の壁越しに言おうとした建前は、あっさり本音にかき消され『私、あなたのことあんまり好きじゃないと思います』この時のショートメガネっ子優空に加えてちょっとむすっとしてる表情、最高です。個人的には割とこっちのが好みだったりします。メガネめちゃ似合う。ここでもう一度朔に壁の奥を覗かれ、朔のことを完全に大っ嫌いになる優空。例の決心をしてからこんな子が現れるとは思ってなかっただろうな。たまに話してもやっぱりへらへらと壁の奥に手を出してくる朔に対して腹を立てる優空。でも唯一母親の話となった時、ちょっとそのへらへらとした雰囲気がなかったことに気付いたものの気付いただけ。

 蔵センにプリント運びを頼まれていた朔に伝言を頼まれた優空、この時蔵センが言った『お前ら、似てるとこあるよ』っていうセリフ。おそらくこれは普通に生きようとする優空と、昔に目立ち過ぎて失敗した過去を持っている朔で、仮面をつけている二人が似ているって言ったのかなって思います。仮面に関して言えば間違ってないとは思いますが、朔の仮面の理由はおそらく説明が不足なり下手なりあるので許してください。

 プリント運びを優空がし、途中で駆けつける朔。自分で頑張ろうとして階段から落ちて、なんとか朔が助けるファインプレー。千歳くんと叫んで心配する優空に名前を呼ばれてうれしそうにする朔。優空について何にも知らないはずの朔が、優空が一番欲しかったであろう言葉をかける。動悸が激しくなる優空、なんて声をかけるべきかわからずとっさに『眼鏡かけてないの、どう思いますか?』と聞く優空。そっちのがいいと言われ帰り道に眼鏡を修理に出して、コンタクトを作った。次の日朔にみられると『眉間のしわも外してくんない?』に対し、『緊張してた、だけなのに。』と返す。優空の内心可愛すぎてしんどい。今までずっと普通に囚われた優空。感情を特に出すことをしてこなかったであろう優空が、緊張して眉間にしわを寄せる姿を想像するともうかわいい。

 野球部でただ走っている姿を見つけ、まぶしく、切なく、胸が苦しくなった優空は、普段であれば絶対にしないであろう大きな声で朔を応援した。二学期になり、部活をやめた朔に対して声をかけれない優空。数週間時間が流れ次第に調子を戻してきて、ある日の帰り道に朔とショートカットの女の人が話しているのを見て、『たとえば隣にいるのが私だったら』と若干の嫉妬をしています。この時点というか、階段から落ちた時点で優空は朔に落ちてるよね多分。

 夕湖に誘われみんなで8番らーめんに行く優空。長い時間がたち、早く家に帰ってご飯を作らなきゃと焦る優空。そこに弟からの電話『父ちゃんが、病院に運ばれた』 頭のなかが真っ白になってただどこに行くのかもわからず走る優空。追いついた朔が、弟くんから聞いた事情を話す。落ち着いた優空と朔は河川敷に腰を下ろして、優空のお母さんの話を始める。 優空って朔が追いつくには河川敷まで行かないと追いつかないくらいには速いのと、体力がすごいんだな。さすが吹部。てか気になって8番から河川敷までの距離見てみたんだけど、場所によるけど一番近くて1キロくらいで、その間ずっと走ってるのやっぱすごい。

 ここからはお母さんの話、普通を愛したはずの母が、普通を捨てたことは、優空にとってはかなりのショック。だからこそ優空はもう二度と自分の前から大切な人がいなくならないように普通になろうとしてたんだと思います。切ない。小学生には荷が重すぎる内容ですね。そしてなぜそうなろうと思ったのかを朔は聞き、優空は話します。聞いた朔は『ばっかじゃねぇの!?!?!?』と叫ぶ。『いつまで九歳の可哀想な女の子でいるつもりなんだよ。あんたは内田優空だろ』と朔は言う。やっぱりこれも優空は自分では気づいていたけど、見て見ぬふりをしていた真実。あなたにそんなこと言われる筋合いなんてないと叫ぶが、朔はあるという。その証拠を見せるために家に連れていく。その証拠とは「親がいない」ということ。最終的に優空は笑い、話の続きをすることに・・・なる前に部屋のお片付けをする方を選ぶ。うん、さすが家庭的な女の子。

 優空が普通に縛られている現状を、朔は普通に答えを出す。そんな普通な答えに優空は、優空自身が本当に望んでいた世界だったと思いだす。話はまとまり、お父さんに電話をする優空。そこからどうしてか朔の家に泊まることになるのはまぁびっくり。話の最初の方にあった流れはここからだったのでしょう。ソファを寝室にもっていき、ベッドに優空、ソファに朔。二人が話すのはお母さんのこと。大切な記憶を、思い出すように、忘れないように、話し出す。きっと夕湖の話もそんな感じで、優空は切り出したのでしょう。朔が寝た後、優空はベランダに出て考えた『月の見えない夜に見つけた月を、心の真ん中に吊るしておくために。』というセリフ。いやいや普通そんな言葉でないでしょとツッコミを入れたくなります。6巻のサイン本では「見えない月を手放すな」とか「見えない月を見つけだせ」そんな感じですかね?そこから口絵のシーンに行き、YUA5(地味に夕湖のAngelsと自体が違うのは置いといて)のシーンまで行きました。内田さんが優空ちゃんに、あなたが千歳くんに。優空ちゃんが優空に、千歳くんが朔くんになるきっかけの話がこの過去編でした。うん。一言でいうならツンからデレまでの優空回でしたね。個人的にあの挿絵大好きです。

 話は元の時間軸へ、一年越しの間接キスをする優空。『あの瞬間にはまだ。理由があった、言い訳の余地があった。』というセリフ。今は『言い訳はできなくなっちゃったな』というセリフ。まぁもうわかる通り朔のことが好きなんだなという裏付けですよね。この作品、いまだ分岐ルートを残してるエロゲって感じで、やまさきさんとゆきともさんでやっている「ラノステ」で話してた「売上次第でやれること。それはやれそうだ」っていうやつ、一瞬だけマルチエンドのことかと思っちゃうよね。先の展開は彼らが描く系作家男子の裕夢先生がそんなこと決めるはずないのに、決めれるはずないのに・・・ありえなくもないよね・・・。

 惰性で夏休みを過ごす朔に、悠月や陽からの連絡が来る。悠月はいつもどおりになるように、陽は心配するかのような連絡が。この連絡の内容に悠月らしさ、陽らしさがあってとてもいいですね。良きです。あの日から通い妻をしていた優空でもさすがにお盆は遠慮する朔、そこに一本の電話が。明日姉からだ。ついに来ました推し明日姉回。おばあちゃんの家に行く明日姉と朔。おばあちゃんの方言に、今まで洗練された読者ならついていけるであろう部分には注釈をつけなくなっていたことには普通に笑いました。おこぼいはわからん。伝統について話す朔と明日姉。語るに落ちてることに気付いてない明日姉がかわいすぎてしんどい。もっとくれ。ワンピースの模様増やしてる明日姉も見てみたいです。そして朔が初めて「明日風ちゃん」呼びをしたときの明日姉の反応の挿絵がなぜないんだ!どういうことだ裕夢!・・・いやわかるよ、ここに割く挿絵のリソースがなかったんだよね・・・。それは仕方ない。なので自分で補完しておきます。てか読んでる最中にしてました。そしてくだけて方言がでてくる明日姉もすごいかわいい。明日姉はギャップの萌え萌えがすごいからほんとに好き。推しです。

 おばあちゃんの縁の話は、今の朔にとってすごく大事な話で、片っぽが端っこさえ握り締めていれば、繋がりは途切れない。人の繋がりは簡単に消えるものではないと言ってくれました。きっとそんな言葉が朔にとって必要だったんだと思います。

 おばあちゃんの家から帰る二人、そこで明日姉は遠回りしないかと提案し、受け入れてもらって『やった』と嬉しそうにしてる姿を想像するだけで人生が楽しく思えます。   さて、ここで明日姉があの話を切り出します『君はどうして柊さんの告白を断ったの?』と『君の話には、君がどこにもいないよ』と。これは最後まで読めばわかる答え。朔は断る理由を『他の女の子がいる』と言っていました。ですが明日姉は気づいていました。「他の女の子がいる。でも夕湖もいる」っていうことに。ここできっと、ほんとの意味でのタイトル回収である、君は『ラムネの瓶に沈んだビー玉の月だったから』というセリフ。きっと朔はビー玉の月だった。だからサインではいつも「月に手を伸ばせ」などを書いてました。あれは朔自身が本当のお月さまじゃなく、ビー玉の月だった。だからこそこのあと、明日姉は『ずるい心じゃ、君のお月さまになんてなれないから』と言っていたんだと思います。

 帰ってきてから優空から電話がかかってきます。『んーん。朔くんに話してどうにかなることじゃないから』というセリフで、僕は読んでいるときに家族のことで何かあったのかなと思いました。でも実際はこの日は夕湖のところへ行き、夕湖と話していたんだと思います。でも逃げられて・・・だから朔にできることはないと、自分でどうにかするしかないと言い聞かせたんだと思います。ここら辺の話は、優空がしっかりと説明してくれているのでこれで終わりでもいいかなと思います。あ、でも最後の優空の『私が・・・っ』ってところの続きはちょっと思いつかないので有識者教えてください。

 ここで悠月が朔の家に行き、優空が来ないタイミングなのは偶然にもということで。ここで悠月のセリフに『ゃっぱり、か』とあるんですが、普段LINEで見るものだと解読不可のギャル語となってしまうんですが、実際に人が発する声、悠月の心情を考えた上でのこの『ゃっぱり』を使っていると考えると、この作者は日本語で遊ぶのが上手なんだろうなと思います。ラノステ聞くと奥深いよねとも話してましたね。あれ面白いのでぜひ見ましょういろいろ。

 『似合ってない、かな・・・?』といって自信なさげに言う悠月、その挿絵のココスキポイントをあげます。1個目、ショートパンツにエプロンが何より合うよね。本来であればさらされるであろうふとももが隠されることによって見えそうで見えないチラリズムを誘う。かと思いきや実際に料理中では一切見えなくなるのがまたいい。でもしかし、場所によっては後ろは見えるのではないか?そう、後ろはエプロンで隠されることはないのだ。前を隠して後ろ隠さずのふとももを見て、後ろに興奮しないと断言できるか?するに決まってるであろう。 2個目、普段は耳にかけない髪をかけています。そのことによって生まれる耳への視線誘導。僕が何よりも好きなのは、耳が見えることよりも、かけた髪ですね。なんていうんだろう、髪の毛の先端が耳にかけることにより見えなくなり、その代わりに横のベタが見えるようになるのがいいんですよね。うまく説明できないけど伝われ。あ、ここで両方かけるでなくアシンメトリーにするのは最高です。差別化大事。3個目、これはシンプルです。後ろで髪を結んでるのがいいですよね。後ろで結んだ髪の毛がちょっとわちゃわちゃしてるのがかわいいですね。かわいいです。

 ここで朔は海人の言葉を思い出します。なので、いつものような軽口を言わず、当たり障りのないようなセリフをいいます。でもそれは悠月にとっては「いつもの千歳朔じゃない。我慢しているんだ」と感じて、泣きだしそうに唇を噛んだんだと思います。そこで無理して明るい声で笑う悠月は切なくかわいい七瀬悠月でした。 悠月が作ったっ物はなんと定食屋メニュー! 悠月は悠月で、仮面を被るタイプの人間だった。だから確かに意外かもしれない。だけど、きっと陽だったら、一番近くで見てきた相棒だったら、予想できなとかもしれないと思うと、エモいです。勝手な妄想です。一番素を見せてきた相手だからという理由で陽はわかるのかもと思いました。悠月も『そういうのはもう、やめにしたんだ』というセリフからもこう予想できます。福井県民はこういうときはカツ丼なのか。愛知県民はこういうとき何食べるんだろ・・・ 少なくともウナギはない。 味噌汁の味って、何が一番いいかって言われたら、僕は真っ先に給食の味噌汁と答えます。インスタントでは再現できない味なので大好きです。悠月の作った味噌汁もきっとそういうものだと思います。職場の食堂でも給食の時みたいな味噌汁が出てきて、メニュー的に飲めるときは絶対に飲んでます。カツ丼を食べて胃袋つかまれている朔。そういった朔に悠月が『っしゃ!』と言ってる姿を実際に見たい。4クールとか8クールとかかかってもいいので忠実に原作再現した上でアニメ化してみてみたい(無茶な願い)。ソースとりんごジュースって合うのかな・・・? 気になるな。個人的に朔とは味覚の相性がよさそうなので試してみようかしら。白飯にかけて汁丼にするのめっちゃうまいよね。ソースのたれを最後まで味わえる最高の手段。ふにゃっと笑顔の悠月を見てみたい・・・。

 ベランダで話す悠月と朔、陽は来たか。夕湖はどうしてるか。そんな話の流れで、私たちは「はりぼての美しさ」を気にしすぎる。それはきっと意地を張ると言い換えてもいいかもしれない。だからこそ悠月は、朔に対して『意地の張り方(かっこのつけ方)まちがえんなよ』と言ったんだと思います。誰よりも理解っているからこそ、誰よりも似た人同士だからこそ、こう言ったんだと思います。

 悠月を送ったあと、優空から電話がかかってきます。優空の『ほう?』ボイス聞いてみたいな。どれくらいドスが聞いているのかめっちゃ気になる。ここで怒っていると宣言した優空。『叱ってあげなきゃいけない相手はふたりいるから。』というこの二人、まぁ考えるまでもなく今の選択を続けている朔と、あれを選択した夕湖のことなんだと思います。

 今度は陽がやってきます。不器用に言葉を並べて、朔にとって今何が必要なのかをせいいっぱい考えて、自分じゃお遊びにしかならないことをわかっていて、そこで亜十夢を連れてきた陽には、笑うほかないと思います。やっぱりメインヒロインは亜十夢くんだった⁉ この二人の掛け合いって、テンポよすぎるんですよね。同じスポーツで、全力で闘った相手だからこそ。それこそ陽にとっての悠月みたいな。そんな相棒みたいな感じだから似合うのかな。

 二時間ぶっ続けで打ち合ってたわけではなく、前話してたように陽にバッティングの基本を教えたり、亜十夢がバッターボックスに入って朔がマウンドにと、楽しく遊んでいてよかったです。教えてもらってる時の陽の反応見てみたい。 亜十夢が先に帰るときに、『腹くくったら声だけはかけろ』と言ってて、しっかりとデレを見せてくる亜十夢くんの職人芸に感服しました。どんだけ朔と野球したいんだよ愛かよやっぱこの二人でエンドするのか。 雨が降ってきて、雨の中背中合わせで話す朔と陽。大切な仲間のためにしっかりと活を入れる陽。こんなやり方しかできないと言っていますが、こんなやり方は陽にしかできないと思うから、胸を張っていいんだよ・・・。

 ここでおそらく初めて、”あの日”以降の夕湖が出てきます。海人毎日来てるのって、結構タフなメンタルじゃないとしんどいよね。ちょっと違うけど青ブタで毎日翔子ちゃんのお見舞いに行く咲太をおもいだしました。 みんなの夏休みをだいなしにしてしまった夕湖、『どう謝ればいいのかわからない。まだ友達と言っていいのかもわからない。だから昨日だってけっきょく、途中で逃げ出して・・・。』のシーン。読んだ時からまず間違いなく優空だろうなと思ってました。時間軸的にはおそらく朔と陽が雨に打たれてるタイミングでしたね。その同じタイミングで海人の家に和希と健太が来たんですよね。その話はぜひbookwalkerの電子特典でお楽しみください! SSが本編と完全にリンクしてるのずるいよ先生。うそつき!

 ここで海人は自分にとっての大事な過去の話をします。夕湖にとっての朔に惚れたエピソードが教室なら、海人にとっては体育館でした。その話を海人にして、失恋したのは夕湖だけじゃないと、夕湖は一人じゃないと、手を差し伸べました。うん、海人。お前のその強さは、この作品の誰も持ち合わせていないと思う。誇っていいんだぞ。

 次は和希と健太が朔の家に来ます。マックを持ってきて食べようという和希、特に逃げることはしないんだろうけど逃げ場をちゃっかり封じてる和希はやはりやり手である。そして健太はいつまで乙女してるんだ。お前は男女と書いておとめにでもなろうとしてるのか。 そしてテーブルにマックを並べる和希、やはり朔とは味覚が合いそうだ。ビックマックのセットにファンタグレープとかもろ同じでもしや僕千歳朔ではと勘違いしそうに・・・ならないわ。ていうかビックマックってやっぱでかいからいいんだよね。コスパ的に行くならチキンクリスプが最強なんだけど。でも名前だよね。ビックだし。高校の頃は僕も運動部に所属してたから結構な量を食べはするんですけど、さすがに海人ほどは食えないですね。あいつすげぇな。

 そっからは外堀を埋めていくように今までのことを聞いてきます。とりあえず優空から聞いていき、そこからはしっかりと和希は朔を追い詰めていきます。明日姉、陽と続き『それから?』と完全に追い詰め、ここで朔が悠月の名前を出した時点でもうみんな隠す気ないよねって思ったよね。そしてここで『・・・へぇ?』と反応する和希。さすがにカツ丼を作ってくれたことに驚いていたものの、きっとこの『っ』には自分には見せてくれないであろう姿を朔に見せている。というものへの嫉妬か何かなのでしょう。和希ってチーム千歳の中では一番ギャップのある男の子なんですよね。やはり5巻から和希の株は上がりまくりです。ここで海人の話になり、和希も海人も、やっぱり幻想を、自分の格好悪さを、誰かに押し付けていたんです。だからこそ喧嘩になったんでしょう。 ここからは健太が話に入って、健太が漢を、神を見せることになります。この物語の1巻がなければ、きっとチーム千歳はここで終わっていたかもしれません。物語は、人生は、やっぱり全て繋がっているんだと思います。朔が健太を救わなかったら?そんなIFは考えたところでしょうがない、だって今がこうなんだから。きっと読者もそうだと思います。IFストーリーなんて考えたところでしょうがないんです。あれ、なんか話違うな。話を戻そう。 ここまで言われた朔はちゃんと、大切なことを思い出せました。朔が伝えた大切なことを、実行してみせた男の説得力は、きっと当時の朔ですらないと思います。今このなかで一番かっこいいのは間違いなく健太です。

 翌日は優空がご飯を作りに来ました。その帰り道、優空はお茶をしないかと提案します。そこで優空はお祭りに行かないかと誘いました。日にちは夏のクリスマスイブの日。朔は夕湖のことを考えた上で、優空のことを考えた上で、一緒にお祭りに行くことにしました。ここで朔は「俺より夕湖を優先してくれって話そう。俺もこの状況にけりをつける」と決めました。果たしてそれはかなうのか・・・

 さぁここからはクライマックスへと向かっていきます。長々と書いて今1.5万字まで来ました。二万は行きたいですね。

 先ほど約束した朔との夏祭りの準備に、この日のためにこっそり新調した浴衣を着る優空。浴衣姿を自分で確認し、ちょっとお母さんに似てきたのかなと思って笑みをこぼす優空。こんなときにあたたかい気持ちになれるのは朔のおかげ。大げさすぎる褒め言葉を望んでいた優空。でも実際には・・・。優空が願をかけるように伸ばし始めた髪の毛、あの女の子みたいに。というあの女の子は間違いなく夕湖のことなんでしょう。家を出るときに、下駄が横向きに倒れてしまったのを直そうとした優空の手は、指先が小さく震えていました。きっとこのあとに起こることに、少しばかりの緊張があったのでしょう。おそらくもう二度と友達には戻れないかもしれないという恐怖も・・・。

 朔は優空との待ち合わせ場所に立っていました。少し時間がたってから優空が来ます。優空はまず浴衣の感想を聞きだします。そこでも当たり障りのない感想を口にする朔。優空はやはりこの回答はショックで、朔にとっては最善でも、優空にとってはどうなのか。優空を気遣った結果の回答でも、それは朔にとってであり、優空のとってではなかった。この現状だからこそ仕方ないと言えるものの、ここまで千歳朔という人間が格好悪い状態でいるっていうのもなかなか珍しいですね。まぁ今回は7割格好悪い状態でしたね。 朔が浴衣できていないことに、ちゃんとショックを受けている優空。約束をしていたものの、朔の持っている浴衣の1枚は、夕湖にもらったものだからと着てこなかったのだろう。さぁここからラストへの伏線祭りだ! ここで優空は何を食べるかしっかりと迷っていました。なぜかって?この後があるからでしょう。このあとちゃんとみんなでお祭りするために、控えていたのでしょう。でも朔、あのセリフはきゅいっだよ。 ラムネを買う朔と優空、朔は優空の分を買ったのにも関わらず優空は自分で一本買う。それに何の意味があるのか、そしてなんで優空は切なそうに、祈るようなまなざしで鳥居の方を見つめていたのか、朔にはわかりません。ですが、鳥居を見るとそこには夕湖がいました。 そう、これは優空の仕業ですね。優空はどの時点からここまでの景色を予想していたのでしょうか。どれだけの想いをのせて、この行動をしているのか。それはきっと誰にもわかることはありません。うん、涙。 優空は、夕湖と朔の、手を結び、縁を結ぶように力を込めて『話を、しようよ』と持ちかけました。

 ここからは優空の今までの話です。優空は夕湖の家へ行き、まず琴音さんと会いました。やはり人生経験の差なのか、きっと琴音さんは今の現状のかなりをわかっているんだと思います。これに関して言えば夕湖と琴音さんとのシーンでも話しましたね。夕湖の行動をうれしく思う。優空たちに背負わせてしまった言葉。どれもわかっているんだと思います。夕湖から話を聞いていただけで、そこまで理解することができるのは、きっと誰よりも夕湖のそばにいた琴音さんだからできたことなんだと思います。親子の絆ってすごいね。そして拒絶された優空は次の日、もう一度夕湖のところへ行きます。今度は出た夕湖に過去の話をします。『お互いに弱さを分け合ったから』 きっと夕湖は当時そうは思っていなかったのかもしれない。けど優空はそう思っていた。三日目。最後はお風呂のドア越しに話す優空と夕湖。昨日の最後という意味を聞き出します。優空は『絶交』といいますが夕湖がそれを遮ります。でも優空は否定して、夕湖は少しだけ安心します。ここで夕湖が即答するあたり、やっぱり夕湖らしいなって思いました。自分に真っすぐに生きている人間だからこそなんだと思いました。 風呂場で手で水鉄砲を作ってお湯を飛ばして、自分の顔にかける優空。ナニソレ絶対かわいいじゃん見せてよ。絶対>_<こんな感じの顔になってるでしょ見せてくださいかわいいから。夕湖に「いつまでもそうしているなら、これからは私が朔の隣にいるから」と言います。ここでさっきのお祭りに夕湖を誘いました。来るかどうかは一か八か。優空、親友のためにそこまで動ける人間ってそうそういないと思う。まぁこんな現状がそもそもないんだろうけど。

 そうして、夕湖はお祭りにきて、三人でお話をすることになります。ここでさっそく優空は『夕湖ちゃんはどうして朔くんに告白したの』と爆弾を落とします。ここでこのセリフを出すにはちゃんとした準備が必要でしょう。一体いつからこの言葉を仕舞っていたのか・・・。 それに対し朔は当たり前の解答をします。なぜ今なのかとは考えていた朔。ですがここで夕湖の本心に触れるかのように、本当の不自然に触れます。         『どうしてあの場で告白することを選んだのかな』『どうしてわざわざみんなの前で』そうしていつのまにか額を優空の腕に押し付け震えている夕湖、そっとその頭を撫でながら話を続けるのは、きっと夕湖の本心を優空がさらけ出す申し訳なさがあったのかなと僕は思いました。『告白がうまくいくかもって。ほんの少しでも思ってたのかな?』『あの日のことが関係してるんじゃない?』と、おそらく先ほど話した「弱さを分け合ったとき」なのでしょう。みんなのために動く優空・・・

 ここからは夕湖にとっての過去のお話。なにかを我慢しているように見える優空。でもなぜか朔の時だけは違う。朔と出会うまでの自分に重ねていたのかもしれない。優空をご飯に誘い、様子がおかしくなった優空を朔に任せた次の日、些細な変化を見付けてしまった。こうなることを望んでいたはずなのに、喉元になにかがつっかえたみたいに、呼吸が苦しくなった夕湖。きっとこの時点で優空のことを察していたんだと思います、『うっちーに朔をとられちゃう。』と。そこで夕湖は優空を屋上に呼び出して、話をします。いつの間にか夕湖は『うっちーはいま、好きな人っているの⁉ ちなみに私は朔!!』と言います。そして優空は目を泳がせ、眉間に小さなしわを寄せ、唇をぎゅっと結び、スカートを強く握りしめて、何度も深呼吸をした後に、まるでであったころのような微笑みを浮かべて『私はいないよ』と言います。きっとこの時に、「互いの弱さを分け合った」んだと思います。夕湖は自分の想いを優先するかのように、牽制するみたいに、自分の気持ちを先出す弱さ。優空はここで我慢して、仮面をつけて、『私はいないよ』という弱さを分け合ったんだと思います。朔が屋上にきて、唐突に夕湖は自分の想いを伝えます。そこで優空は肩を震わせて。ずるくて、汚くて、卑怯でわがままで。こんな身勝手をしたからこそ、夕湖の心は泣いていた。 多分夕湖はここからずっとこの気持ちを引きずっていたんでしょうね。5巻でも同じセリフを吐いたのは、きっと今回とは逆の意味。気持ちを閉じ込めさせるのではなく、気持ちを言ってもいいんだよという意味で言ったのでしょう。やはり彼女も健気です。

 夕湖は話を終え、ごめんなさい、ごめんなさいを繰り返す。今までのことを謝る夕湖。『大丈夫だいじょうぶ』と夕湖の頭を撫でる優空。そのうえでもう一度『告白がうまくいくかもって、ほんの少しでも思ってたのかな?』と聞きます。夕湖はあらん限りの声を張り上げて否定した。今までの後悔と、悠月と陽のことを話す夕湖。告白した理由を、何もかもをさらけ出す夕湖『私の大切な人が、ちゃんと自分のトクベツを大切にできるようにッッッ』と。 ようやく夕湖のすべてに気付いた朔。夕湖にとってのヒーローと、夕湖にとっての大切な友達を守るために告白をした夕湖は、自分で背負ったからという理由があったとしても、その決断と実行には計り知れない不安があったと思います。それでも実行した夕湖に、自分の想いを泣き叫んだ夕湖に、泣けないはずがありません。

 次は朔の番という優空、朔の核心に触れるかのように『どうして朔くんは断るときにわざわざあんなことを言ったの?』ときっかけを与えました。でも、それだけは言えないという朔。でも、健太が言った。悠月が言った。陽が言った。あの言葉によって、そして、自分の弱さと向き合って決着をつけた夕湖を見て、朔は話す。自分の汚さ、卑怯さ、情けなさ、かっこ悪さ。すべてを話す。そして『俺の心のなかには、夕湖がいる』『だけど』『それでも俺の心のなかには、他の女の子が、っ、いる』と。『愛されることに慣れすぎて愛し方を知らないんじゃないかな』と明日姉に言われたことを思いだす。『どの気持ちに、恋という名前をつければいいのかが、わからない』。 最終的に優空が朔を諭す。何もかも、これは朔くんが教えてくれたことなんだよと。『それでもいっしょにいたいと、想えるのなら』『手を、繋いでいようよ』と優空は言いました。

 ここで挿絵があるんですが、先ほど書いた「挿絵の重大な真実」の話をしたいと思います。実際に意図があってこうしたのかはわかりませんが、あの人ならやってそうな気がするので話します。さて、ここまでの挿絵、朔が写っている挿絵に何か違和感はありませんか? その違和感の理由について話します。ここまで朔は、朔の心の中は、どこを向いていましたか? うしろなのか、うえなのか、はたまたよこなのか。少なくともまえを向いていることはないでしょう。では挿絵を見てみましょう。朔は一度も顔を見せていません。そして今、朔と夕湖の手を優空が繋ぐシーンでは顔を見せています。朔はここでようやく前を向けたんだと思います。だから、オムライスを食べているとき、優空に寝顔を見られているとき、陽と背中を合わせているときは、顔を見せなかったんだと思います。これは勝手な僕の予想ですので、実際にそうなのかはわかりません。ですけどこれだけは言わせてください。なんてもんしかけてんだよ裕夢こんにゃろう。

 さてここでちょっと待ってと話しを遮る夕湖。今まで朔の本当の気持ちと、夕湖の気持ちがなかった。それを暴いた優空。果たして優空の気持ちはどこにあるのか。それに気づいてもらえたうれしさなのか、本当の気持ちを思い出したからなのか、それはわかりません。でも夕湖にしか気づけない。絶対必要な言葉だったのは確かです。

 夕湖は『ちゃんと話してほしい。今度こそ!』と、前回仕舞わせてしまった優空の本音を、さっき優空がしてくれたように聞き出します。優空は朔と似たような想いをしていました。この芽生えた感情は恋なのか、感謝なのかと。だから二人を言い訳にした。そして、いつかに悠月が言っていたセリフ『第一印象が最悪な美少年とは、たいてい恋が始まるものよ』と。これは悠月ではなく最終的には優空のことでしたね。お前いつからこの話想定して書いてんだよ物語は朔たちが動かしてるんじゃないのかもしかして嘘ついてるんじゃねぇよな?(すみません疑ってません許してください)

 優空は『私も、汚くて、卑怯だ』と言います。ですが夕湖は否定します。優空はあのとき夕湖を無視して朔を追いかけた。と、親友よりも大切な男の子を一番に選んだ優空に『自分も我慢してたみたいに言わないでよッ!!』と言います。ここから二人は本音を、それこそ夕湖が望んでいた親友との「けんか」を本気で始めます。でもやっぱり夕湖は優空のために嫌な言い方をしていました。やっぱり夕湖はいい子です。こんないい子は他にはいません。自分の犯した過ちを、自分で気づいて正そうとする。それを強さと言わずになんといえばいいんでしょうか。シクシク

 きっとこのセリフは、優空や夕湖じゃなく、朔にも言えることなんでしょう『私を見つけてくれてありがとう』を。ここからはもう、優空は素直に話すことしかできません。二人で素直に、本音を話す。互いは互いに一番じゃない。でも、それを伝えあったからこそ、二人は元通りに、いや、二人はいつものように、でも少しちがう風に、話し合えるようになったんだと思います。二人の女の子は、また親友となりました。このシーンを見れただけでも、この6巻に意味はあると思います。女の子が泣く姿に、泣かないはずがないんです。

 朔に対して言いたいことを言う夕湖。朔の好きと嫌いを並べる夕湖、そのあとに、優空も習って朔に言う。わがままになってもいいかなという優空。最後に朔。夕湖の告白をなかったことにしたくないと、この夏を、ちゃんと胸に刻んでおきたいと。いつか答えが出たとき、ふたりが「ラムネの瓶のなかに沈んだビー玉の月」を『取り出してくれたから』朔は夕湖に対して『そのときは、俺のほうから、好きだと伝えてもいいかな』と言いました。読み返しながら書くのには時間がかかるけど、その分やっぱ気づきもあるわけで、それこそ今この『取り出してくれたから』というセリフの意味は今気づいたものです。ですのでやはりこのやり方は時間をかけてやるべきものだと確信できました。

 お祭りに行く三人。優空が朔に対して、浴衣の感想くれなかったことに腹を立て、朔が言わなかった理由を話し、夕湖がめんどくさと言います。そのあと優空がその理由を言い、夕湖が素で『え、きも』と、前の関係のように話している姿は、もちろん笑いましたし、何よりも安心できました。夕湖を見つけた鳥居にもどると、そこにはみんながいました。優空がみんなに声をかけ、そこには明日姉もいました。結局二人でデートする気はないと言った夕湖に対し、お面を頭の横につける優空。絶対かわいいじゃん。見せてほしいコン。 陽といつも通りに言葉を交わし、明日姉が照れくさそうに目を伏せでぎこちないやり取りを交わすのはめちゃかわいいです。コミカライズなりアニメなり永遠に待つんで楽しみにしてます。悠月のエプロン姿の感想の件について謝る朔、似合ってるって言われて泣きだしそうに顔を歪める悠月、そしていつもの軽口をたたかれ、べえーっと舌を出して可笑しそうに肩を揺らす悠月。いやもう乙女じゃん。見たことない七瀬悠月がどんどん更新されていくじゃん。べえーっと舌を出すシーン見てみたい。 海人と話す朔、しっかりと脇腹を左で殴り仲直り。男っぽいな。それで済むなら最初からしとけと言う和希、相互理解してきたぞと健太に言う朔。 そこからは、祭りを楽しむだけ。最後には手持ち花火をみんなでする。『また、来年』と頷くように、線香花火がぽとりと落ち、物語の幕も落ちる。

 最後、5巻にはなかった夕湖と、今回のメインを飾った優空のエピローグ。こうして6巻は幕を閉じました。

 

 長ったらしく書いた感想ももうすぐ終わりですね。5巻から続いた夏の思い出。そのすべてに幕が下りました。皆さん思うところはあると思いますが、僕のかけるすべてをここに書き記したつもりです。最初は書いても一万字くらいかなと思っていた感想ですが、物語の内容でも字数を稼いでいるのでちょっとアレですが、いつの間にか二万二千字まで書いています。前回に引き続きちゃんと「裕夢こんにゃろう」が言えたのは、しっかりと裕夢先生がそんな場面を作ってくれていたからなので、これは裕夢先生に感謝です。 時間を空けているので正確な時間は分かりませんが、8時間ほどかけて描いたこの感想をここまで読んでくれた読者の方。そして、この作品を描いた裕夢先生。この作品に色を足してくれたraemz先生。最後に、この作品を世に出してくれた岩浅さん。

            ありがとうよりも、ありがとう

裕夢先生、時間をかけて休んでから次巻、6.5巻を書いてくださいね。ここまでの文字数は書けないと思いますが、しっかりと感想書いていきますので楽しみにしています!  それでは、また別の記事でお会いしましょう。

 

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三角の距離は限りないゼロ 7巻 感想

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[あらすじ]

自分を見失った僕。足跡を辿るなかで、ついに彼女たちの終わりが来て――。

 一人の中にいる二人の少女「秋玻」と「春珂」。彼女たちと恋するなかで、僕は「自分」がわからなくなってしまう。
 ――僕って、どんなやつだったっけ?
 明るい作り物の僕と、その裏にいた繊細な、本物の僕。……本当にそうか?
 春休み。再び明るくなった僕は、支えてくれる秋玻、春珂と一緒に、自分を探しはじめる。そして入れ替わりの時間が短くなってゆく彼女たちにも、同じように自分への疑問に向き合うときが来る。
「――わたしたちって、二重人格って、なんなんだろう?」
 二重人格の彼女とともに過ごした一年を辿り終えたそのとき、僕は終わりゆく「彼女たち」の最後の願いに触れる――。
 僕と彼女と彼女が紡ぐ、切なく愛しい、三角関係恋物語

 

 

※ここからは7巻のネタバレ有です。未読の方は注意してください。

 

 

 

 

 僕が7巻を読んだ感想としては「ほんとにしんどい」でした。終盤手前までは「うんうん、なるほどなるほど。そういうことね」ってなるし、霧香の行動は納得できる。みんなの「矢野四季」を探しに行くのはかなり合理的だし、「矢野四季」に対してってよりかは「矢野四季」に一番近い人間である秋玻、春珂に対して働きかけるのほんとうまい。

 正直ここら辺語るのしんどいです。最後に引っ張られ過ぎて何も書けないです・・・

 口絵にあった「矢野くんが、選んでくれた方が、残ります」っていうセリフに関してはいつでるんだって気になってて、まぁ最後の方に来るとは思ってたからいいんだけど、もう一つの「矢野くんが、選んでくれた方が、消えます」っていうセリフがもうしんどすぎて何も書けない。そこに行くまでの間で矢野が秋玻の考えを否定して、なんでなんでなんでなんでってずっと思ってもどかしくて、春珂のほうで矢野がああなってるのもまだ理解はできるんだけどなんでこっちにってなってるから、僕自身は「秋玻」に肩入れしてるんだろうなって自覚できたので、そうなってからはそのなんでもなくなりましたね。また、物語の途中で6巻の最後の「秋玻でも、春珂でもなかった」ってセリフに関してはおそらく今の二人は「二人で1人」であるから。統一された人格の「秋玻か春珂」だと思います。「秋玻と春珂」だとどっちかがちらつくっていうか、どっちもいるっていう認識ができちゃうと思うんです。だけどどっちかしかいない身体は矢野は知らないから「秋玻でも、春珂でもなかった」んだと思います。最初は××のことかと思ったけど、あながち間違ってなかったのかもしれません。

 ということで、今回の記事はこれで終わります。ほんとに最後のセリフがしんどすぎて何も書けない・・・

 

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